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【キラリ甲信越】白馬から「支配人世界一」輝く 「しろうま荘」丸山俊郎さん

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【キラリ甲信越】
白馬から「支配人世界一」輝く 「しろうま荘」丸山俊郎さん

 白馬村八方にある家族経営の小さな温泉旅館が、大きな栄誉に浴した。世界の旅行業者を対象にした「ラグジュアリー・トラベル・ガイド・アワード2016」の支配人部門で、「しろうま荘」の総支配人、丸山俊郎さん(42)が最高賞に輝いた。権威ある同表彰で個人部門が設けられたのは今年初めて。22カ国の支配人から選ばれた勲章の第1号は、世界中に「HAKUBA」リゾートの魅力を刻み込んだ。(太田浩信)

 「正直言って、私なんかが受賞して良いのかと思った。旅館を支える家族や友人、知人、繰り返し訪れていただいているお客さま、そして白馬の美しい自然のおかげだと感謝している」

 表彰式で、名前を告げられたときの驚きを興奮気味に話す。しろうま荘は、米国発の世界的なクチコミサイト「トリップアドバイザー」でも上位にランクされており、海外での白馬全体の高い評価に貢献する。

 ◆各地で“独学”

 「世界一の支配人」には、他のホテルでの修業経験はない。大学卒業後、千葉県のテーマパークでジャングル探検アトラクションのガイド役を5年間務め、ホスピタリティーの基本を学んだ。その後、豪州のゴールドコーストでワーキングホリデーをしながら、世界的なリゾートのあり方を自分なりに解釈した。

 さらに外資系金融会社でスポーツジムのトレーナーをしながら、英語に磨きをかけた。地球を舞台に働くビジネスマンの考え方に刺激を受け「世界観が変わった」と振り返る。国際人としての素養を身に付け、故郷の白馬村に戻ったのは平成21年の末のことだった。

 ◆未来思い描く

 しろうま荘は約80年前に祖父母が始めた民宿がルーツ。客室数は18で背伸びはしない。基本的なスタッフは両親、妹を加えた4人の小世帯ながら、冬季の宿泊客の8割が外国から訪れる。海外に多くの友人を持ち、5カ国語をカバーするホームページやSNSでの発信に努めてきた結果だ。

 「特に“日本のおもてなし”ということにはこだわっていない。家族のように接していることが、評価されたんじゃないかな」

 しかし各客室に冷蔵庫を備えていなければ、館内にエレベーターもない。

 「これほど環境の変化が叫ばれているのに、地球資源を消費することよりも大切なものがある。自然が美しい白馬だからこそ、お客さまも分かってくれる」

 旅館業の傍ら、生徒数の減少から一時は存亡の危機にあった県白馬高校(白馬村)の教壇に立つ。「観光英語」の特別非常勤講師として、外国人リゾート客とのコミュニケーション術を授ける。ときには生徒を連れてホテルのロビーやゲレンデに繰り出し、生きた英会話に触れさせる。

 「グローバルな視点、英語力のどれをとっても私は未熟だし、先が見えている。希望に燃え、白馬を担ってくれる次の世代の人材を育てたい」

 若き支配人は、白馬の未来を熱く思い描く。

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 ■ラグジュアリー・トラベル・ガイド・アワード 世界各国の富裕層を中心に約55万人の購読者を持つ旅行雑誌「ラグジュアリー・トラベル・ガイド」が行う表彰制度。リゾート地や航空会社などあらゆる旅行産業を対象として大陸や地域ごとに受賞者・施設が選出される。覆面審査員を加えた審査過程は一切明かされず、何重もの厳しいチェックをパスした「超一流」だけが頂点に立つ。