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ワクチン製造の承認書解釈めぐり対立 厚労省は解体的出直し迫る 化血研「自主再建」に強気 熊本

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ワクチン製造の承認書解釈めぐり対立 厚労省は解体的出直し迫る 化血研「自主再建」に強気 熊本

日本脳炎ワクチンについて説明する化血研の木下統晴理事(左)=10月、熊本市 日本脳炎ワクチンについて説明する化血研の木下統晴理事(左)=10月、熊本市

 血液製剤の未承認製造問題に揺れた化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)が、新たに日本脳炎ワクチンの未承認製造を指摘した厚生労働省に反発している。承認書の解釈をめぐり、両者の主張が対立。「不正が後を絶たない」と事業譲渡による解体的出直しを迫る厚労省に対し、「自主再建」での組織存続を図る化血研、といった構図も透けて見える。

 化血研は昨年、血液製剤などの未承認製造が発覚し、今年5月まで医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づき110日間の業務停止命令を受けた。厚労省が「新たな不祥事」として日本脳炎ワクチンの未承認製造問題を公表したのは、業務再開から5カ月後の10月上旬だった。

 ワクチンの原材料を製造する工程でウイルスを培養する際、毒素などを失わせる処理を一部実施していなかったとの内容だった。厚労省は業務改善命令を出す意向を示し、「製造販売業許可の取り消しもある」と踏み込んだ。

 これに化血研は猛反発した。10月18日、問題とされた製造法は「国の承認書で認められていると解釈している」との弁明書を提出した。関係者によると、提出前に幹部の一人が職員を集め「私たちに不正はない」と強調したという。

 厚労省幹部は「想定していなかった対応。けんかを売られた」と、いらだちを募らせる。

  ▽強める抵抗姿勢 

 「何度も不正を繰り返し、許せない」

 塩崎恭久厚労相は、化血研への不信感を、繰り返しあらわにする。「他社への事業譲渡による解体的出直し」を求めた。

 そうした中、化血研は今年6月に経営陣を刷新した。厚労省の指導を受け、アステラス製薬との事業譲渡交渉も進めた。

 だが、両社の交渉は10月、不調に終わった。譲渡の金額や従業員約1900人の雇用、事業の範囲をめぐって折り合いが付かなかったとみられる。

 政府関係者は「9月の厚労省との会合で、化血研から存続を目指す趣旨の発言があった」と明かす。

 化血研には、経営陣刷新後も「引き継ぎのため」として一部の旧理事が顧問として残る。地元の行政関係者は「残った幹部が実質的に経営を握り、国への抵抗姿勢を強めているのではないか」と推察した。

 化血研は血液製剤やインフルエンザワクチンで国内トップクラスのシェアを誇る。関係者は「自負もあり、強気の姿勢を崩すつもりはないだろう」とみる。

  ▽企業価値の低下 

 厚労省は、弁明書を受けても業務改善命令を出す方針は変えていない。引き続き別の製薬企業などと事業譲渡の協議を続けるよう求める。

 ただ化血研の企業価値は一連の騒動で低下しているという見方もある。別の製薬大手幹部は「危なくて買えない」。化血研の職員はこうした状況を憂い「強気の姿勢を見せるより、まずこれまでの反省をすべきだ」とつぶやいた。