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【みちのく会社訪問】裏磐梯レイクリゾート(福島県北塩原村)

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【みちのく会社訪問】
裏磐梯レイクリゾート(福島県北塩原村)

 ■「地元密着」と大改修で活気回復

 福島県のシンボル「磐梯山」や五色沼、桧原湖などを擁する磐梯朝日国立公園。この地の一角に、バブル経済まっただ中の平成2年、320億円が投じられて産声をあげた高級リゾートホテル「裏磐梯猫魔ホテル」が、いくつかの曲折を経て昨年、「裏磐梯レイクリゾート」と名を変え、生まれ変わった。

 ◆「景観に魅せられた」

 新たに運営に乗り出したのは、総合通販大手「ベルーナ」(埼玉県上尾市)のグループ会社だ。ベルーナの安野清社長は、裏磐梯でのホテル経営を決断したときのことを、こう語る。

 「景観にとても魅せられた。そして、ホテル経営に男のロマンを感じた」

 だが、現場を見たとき、物足りなさを感じた。「とても大きなホテルで驚いた。だけど、活気がなかった。それなら、ギンギラギンにして、にぎわいを取り戻そうと思った」。安野社長は振り返る。

 さっそく、ホテルの改修に取りかかった。400メートルある廊下のじゅうたんや壁紙を張り替え、洋館のクラシックな装いだった客室は、現代風のラグジュアリーな部屋にアレンジするため、寝具や調度品を一新した。8年間閉じられたままだった新館も全面的に改修して「虹の森」として再びオープンさせた。新館ができたことで客室は83室増えて324室となり、872人が泊まれるようになった。

 また、滞在中も館内で楽しめるよう、レストラン、左右10メートルの大のれんが特徴の大浴場、カフェやプレースポットなど娯楽施設も充実させた。「猫魔時代を全て乗り越える」(安野社長)意気込みで20億円を投じた。

 さらに、ホテルがにぎわいを取り戻すには、地元との信頼関係が不可欠という考えに立ち、「地元密着・地元最優先」を掲げ、宿泊客以外でも利用できる日帰り温泉施設なども新設。不定期だが、地元限定の宿泊プランを提供したり、専門学校の生徒が作った菓子を宿泊客に出したりして、宿泊客と地元が交流する機会を演出している。今後もさまざまな企画を展開する考えだ。

 ◆県内のリピーター増

 これまでの宿泊者数は、運営会社が変わる前とほぼ同じレベルという。だが、これまで5%程度だった福島県内の利用者が、時期によっては17%にまで跳ね上がるようになってきた。「宿泊したお客さまが、他のお客さまを呼んでくださる好循環が生まれている。利便性のよい福島県内のリピーターも増えている」とホテル側はみており、「地元密着・地元最優先」の思いは、早くも実を結び始めている。

 全ての改修を終えた記念のレセプションパーティーが11月中旬、同ホテルで催された。関係者に加え、地元の住民らも多く招かれた。この席であいさつした安野社長はこう強調した。「今回の改修によって、私はこのホテルにしっかりと魂を入れました」

 来年度の売り上げ目標は20億円。「会津若松、喜多方、磐梯などの観光の核となる」(安野社長)ホテルは、次にどんな手を繰り出すか。興味は尽きない。(竹中岳彦)

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 【取材後記】安野社長の経営ポリシーは「売り手、買い手、世間の三方良し」だという。売り手と買い手の良しは容易に察しがつく。「世間良し」は「地元密着」と聞き、なるほどと納得した。これまで何人もの経営者に話を聞いたが、表現こそ違え、おしなべて「地元との共栄」を強調する。地域全体が潤ってこそ、その地にある会社も潤う。これが今の企業経営には欠くことのできない視点なのだと感じた。

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 ■企業データ

 福島県北塩原村桧原湯平山1171の1、(電)0241・37・1111。スタッフは約100人。宿泊料金は本館和室、スーペリアツインとも1万8千~3万2400円(2人1室利用時の1人分)。新館ロイヤルスイートは50万円(1室利用)。URLは、www.lakeresort.jp