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上越でも鳥インフル、見えぬ収束 知事、養鶏場で殺処分視察

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上越でも鳥インフル、見えぬ収束 知事、養鶏場で殺処分視察

 関川村の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されたのに続き、上越市でも30日、死んだ鶏から鳥インフルエンザの陽性反応が出た。県内2例目の発生で、懸念されていた感染の拡大が早くも現実のものとなり、事態は今後さらに深刻化する可能性もある。県は上越市の採卵養鶏場が飼育する鶏23万羽について、遺伝子検査の結果を待たず、国の要請を基に殺処分を決めるなど早期収束に向けて対応を急いだ。

 県は同日午後3時、上越市の養鶏場で10カ所ある鶏舎のうち1つで29、30の両日に計100羽が死んでいるのが確認されたと発表。午前10時半ごろに養鶏場から届け出を受け、同市の上越家畜保健衛生所による簡易検査の結果、7羽のうち6羽が鳥インフルエンザの陽性反応を示したという。

 中央家畜保健衛生所(新潟市西蒲区)での遺伝子検査の結果を待たず、県は農林水産省の要請を基に23万羽の殺処分を決めた。県は「既に関川村で発生しており、速やかに殺処分する」とした。

 一方、31万羽が殺処分の対象となった関川村の養鶏場では30日、県の職員や自衛隊員による2日目の作業が続けられ、午前10時までに6万9200羽が処分された。午後1時すぎから約20分間、同村の現場を視察した米山隆一知事は「ずれ込む可能性もあるが、可能な限り早いのが感染拡大を防ぐ大原則」と述べ、予定している2日までの4日間で処分を終えるよう作業を急ぐ考えを示した。

 県は養鶏場周辺の地下水と荒川、前川の水質調査を実施。29日の採取分は基準内に収まっていたという。また、周辺で29日夕、スズメ1羽の死骸(しがい)が新たに見つかったが、簡易検査では陰性と判明しウイルスへの感染はなかった。

 米山知事は関川村の現場で、鶏舎の外側から鶏の殺処分や死骸の搬送、鶏を埋める穴の掘削作業を視察し、作業にあたる職員らには「頑張ってください」と声を掛けたという。職員の精神面のケアについて、米山知事は「大量の数の命を奪い心的な負担になる。さらなる負担にならないようにしたい」とした。

 米山知事は養鶏場の経営者とも面会。「個人の責任ではないので殺処分を一生懸命行い、雇用維持の面からも『頑張ってほしい』と話した」と明かした。

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 ■養鶏業者ら「打つ手なし」 自治体関係者、風評被害に危機感

 〈新潟〉県内での鳥インフルエンザウイルスの感染拡大が30日判明し、養鶏業者や自治体は対応に追われた。ただ2例目となった上越市は1例目の関川村と約150キロも離れており、県養鶏協会の木村晴夫会長(76)は「どこに拡散してもおかしくない。何をすれば防げるのか。打つ手がない」と困惑の表情をみせた。

 鳥インフルエンザが確認された関川村の養鶏場から半径10キロ圏外の胎内市には7つの養鶏場があり、市によると計約170万羽が飼育されている。同市は29日に対策本部を設置。養鶏場に防疫面の指導を行うとともに、市内の保育園と小中学校の保護者に文書で注意を促した。市総務課の高橋晃課長は「全県的に感染した印象が広がりかねず、風評被害を防がないといけない」と危機感を募らせた。

 市の観光施設「樽ケ橋遊園」は30日、臨時休業の措置をとり、本来は同日までの予定だった今季の営業を終えた。フラメンゴなど約65羽を飼育しており、安全面を考慮したという。

 新発田市のナカショクは、同市や胎内市や新発田市など5つの農場で約150万羽の鶏を飼育する。担当者は「普段から徹底している鶏舎の防疫対策を継続する」と気を引き締めた。

 車両の消毒に加え、鶏舎の屋内外で使う長靴の色を変え、間違えないように神経を注ぐ。搬送用資材にも気を配り「卵の出荷先から戻ってくるトレーや台車も消毒している」という。

 また、関川村に隣接する村上市などで養鶏場を経営するタカムラ鶏園(富山県黒部市)は、養鶏場に出入りする関係者の数を最低限に抑え、石灰の散布など消毒措置を徹底した。

 日本養鶏協会(東京都中央区)の廣川治専務理事は「風評被害につながらないように正しい情報を発信したい」と話した。