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金融機関ノウハウで農業参入 鹿児島銀行・上村基宏頭取

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金融機関ノウハウで農業参入 鹿児島銀行・上村基宏頭取

金融機関のノウハウを活用し農業再生に取り組む鹿児島銀行の上村基宏頭取 金融機関のノウハウを活用し農業再生に取り組む鹿児島銀行の上村基宏頭取

 金融機関としては異例の農業参入を決め、9月に新会社を設立した。背景には、銀行が地盤とする鹿児島県の農業への危機感がある。「このままでは耕作放棄地が増え続け、後継者もいなくなる」。銀行のノウハウを生かして販路や顧客を拡大し、安定的な利益を確保できる「農業経営」を定着させようと意気込む。

 慶応大卒業後、鹿児島銀行入りした。若手行員の時代に営業で回ったミカンや米農家で、収穫作業などを手伝いながら実情を聞いた。

 「休みも取れず、負荷が高いのにリターンは低い。これでは誰も継がない」

 農業の再生を志した。支店長時代、銀行に農業専門部署を設けるよう訴えた。だが、当時の上層部は聞き入れなかった。

 平成22年に頭取に就任。27年に肥後銀行との経営統合に踏み切る。健全行同士の「強者連合」の誕生は、全国の地銀関係者を驚かせた。こうした大胆な発想が「10年来の悲願」だった農業参入につながった。

 政府の規制緩和で「金融がいろいろなことができるようになった」ことも決断を後押しした。

 温暖な鹿児島から、他の産地に先駆けて出荷するとの意味を込め、新会社は「春一番」と命名した。生産から加工、販売まで担う「6次産業化」に取り組む。野菜のほか畜産にも範囲を広げ、気候や土壌のデータを活用した「科学的な農業」の構想を描く。

 新会社への勤務希望者は行内で十数人に上った。

 「うれしかった。みんなが面白いと思ってくれればうまくいく」と笑う。鹿児島市出身の64歳。