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「しなやかで美しい」増える女性拳士 少林寺拳法、創設70周年へ変革期 大阪

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「しなやかで美しい」増える女性拳士 少林寺拳法、創設70周年へ変革期 大阪

 かつては「男の世界」といわれていた少林寺拳法界で、道場のトップを示す道院長に女性が就くなど、女性拳士たちの活躍が脚光を浴びている。「無駄な力を使わずに相手の力を利用して技をかける姿は、女性の方がしなやかで美しい」との声も上がるなど、来年10月に創始70周年を迎える少林寺拳法界は大きな変革期を迎えている。

 「礼」「なおれ」「左中段がまえ」「天地拳第一系始め!」大阪市福島区の大阪福島道院で、道院長を務める吉野有紀さん(35)=五段=の気合の入った号令が響く。

 高校1年から少林寺拳法を始めた吉野さんは、2年のときには全国大会の組み演武で最優秀に輝いた。高校卒業後は少林寺拳法グループ総本部(香川県多度津町)にある日本少林寺武道専門学校(現・禅林学園)で3年間の修練に励み、28歳で、大阪福島道院の道院長になった。

 少林寺拳法を始めた当初は「男性のパワーに歯がゆさを感じた」と振り返るが、現在では「男性とか女性とかは関係ない。培った技や教え、精神力をしっかりと伝授するだけ」と語る。大阪福島道院では現在、43人の拳士が修練に励んでいるが、そのうち16人が女性だ。

 中学1年の岡田弥子(ねね)さん(13)=2級=は「拳法を始めた小学4年の頃より女性拳士が増えたのがうれしい」と笑顔を見せる。システムエンジニアの大島裕子さん(44)=初段=も「老若男女がわきあいあいとなって集う雰囲気は最高です」と話す。

 女性拳士の増加に従い、今年2月には、「女性拳士交流会」が沖縄で開かれ、女性拳士約60人が参加。お互いの技を学び合い、つながりを深め合ったという。大阪でも「女性拳士講習会」(大阪府少林寺拳法連盟主催)が毎春に開催されており、「女性らしい演武」をテーマに演武の講習会が行われている。

 吉野さんによると、大会などに向けた少林寺拳法に対する意気込みは男性よりも女性の方が強いという。

 少林寺拳法では、近年、もともとの創設目的である社会貢献の面から、人を育てることに重点を置き始め、昨年12月からは、子供拳士を対象に絵本の読み聞かせを進める「絵本プロジェクト」も開始。福岡大野城道院の松田和子道院長は「読み聞かせを通じて、自分自身の内面を見つめ直すきっかけになりました」と女性指導者の質の向上にも役立っていると話す。

 こうした変革を続ける少林寺拳法について、「女性の社会進出が叫ばれる時代のなかで、困難を克服する力を身につけるとともに、女性ならではの感性で修行に励んでほしい」と話すグループの宗由貴総裁。総裁が女性ということも、少林寺拳法の変革やイメージアップに貢献しているようだ。