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ロボットスーツで機能回復 山口に拠点開設 高齢化にらみ山銀など出資

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ロボットスーツで機能回復 山口に拠点開設 高齢化にらみ山銀など出資

開所式でロボットスーツの使い方を実演するスタッフら 開所式でロボットスーツの使い方を実演するスタッフら

 筑波大発のベンチャー企業、サイバーダイン(茨城県)の「ロボットスーツHAL」を使ったトレーニング施設が山口市内に完成し、開所式が29日、開かれた。脊椎損傷や脳卒中などの後遺症で、まひが残る患者が歩行訓練などを行う。山口銀行など山口県内の10社が出資して設立した「ロボサポート山口」が運営し、12月1日から稼働する。(大森貴弘)

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 施設名は「やまぐちロボサポートセンター」。開所式では、山口銀行の福田浩一会長が、下半身のまひから回復し、結婚式のバージンロードを歩けるようになった女性の例を取り上げ「この施設で、少しでも社会貢献していきたい」とあいさつした。

 安倍晋三首相は「新産業が地方創生に寄与することに期待している」との祝電を寄せた。ロボットスーツを使った歩行訓練の実演もあり、出席者は興味深そうに見入った。

 センターには理学療法士2人が勤務し、ロボットスーツなど6種類8台のトレーニング機器を備える。当面、主に歩行訓練に対応する。60分と90分のコースがあり、利用料金は1回あたり1万3500~2万2千円。サイバーダインのロボットスーツを活用したトレーニング施設は、神奈川、大分、三重に次いで4番目となる。受け入れは1日10人が限度だが、利用状況によっては態勢拡充も検討するという。

 きっかけは2年半前にさかのぼる。

 平成26年6月、山口銀行が山口県下関市でサイバーダインの社員を招き、講演会を開催した。出席した地元企業の関係者から「少子高齢化が進む地方にこそ、こうした拠点が必要だ」との声が上がった。

 山口県の高齢化率は31・3%で、全国平均(26・7%)を大きく上回る。

 だが、機能回復や介護のロボット産業が集積すれば、この高齢化という地域の弱みを、強みに変えることができる。山口銀行が主導し、地元企業の出資を募り、今年4月に運営会社を設立した。

 センターは、福岡や広島、関西方面からの利用者も見込み、利便性の高い山陽新幹線の新山口駅前に設けた。近くには湯治スポットとして全国的に知られる湯田温泉もある。温泉とロボット施設を組み合わせた長期滞在型の利用も想定する。

 実際の訓練だけでなく、ヘルスケア産業の情報発信地としても活用する。

 ロボサポート山口の山本喜代人社長(55)は、自身も腰の手術によって足が不自由になり、リハビリを経験した。山本氏は「地方は、人が都会に出ていくばかりだったが、この施設は逆に、都会の人がやって来る。『自分の足で歩きたい』という思いに応え、合わせて交流人口の増加に役立つ施設にしたい」と語った。