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地域猫プロジェクト進行中 和歌山県内41地域14市町、有志が世話

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地域猫プロジェクト進行中 和歌山県内41地域14市町、有志が世話

 ■生まれてきたからには命をまっとうしてほしい

 「命をまっとうしてほしい」。来年4月に改正される県動物愛護管理条例を前に、都道府県では初となる「不幸な猫をなくすプロジェクト」が前倒しで進行している。地域の有志が野良猫を保護し、県の協力を得て不妊去勢手術を施したうえ、「地域猫」として死ぬまでエサやトイレといった世話を続ける。行政としても画期的な試みだが、有志や地域住民の生き物に対する深い愛情に支えられている。 (菊池昭光)

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 地域猫は、不妊去勢手術を受けて有志の世話で屋外で暮らす猫で、「家猫」でも「野良猫」でもない。繁殖能力がないため、子孫を残すことはない。最も問題になるふん害も、有志が各戸にトイレを設置することで解決できる。

 新宮市王子町の女性は、ガレージに砂を敷き詰めたトイレと、水飲み用のカップを用意していた。朝昼晩と毎日3回、餌をあげる。「餌がないと『ニャー』と勝手口から顔を出して催促します。家猫ではないので、家に入れることはありません」

 2匹のうち1匹は“家出中”。1匹当たり月2千円の餌代は安くはないが、「これ以上かわいそうな猫を増やしたくない」と意に介さない。プロジェクトに賛同し、近所に説明したうえで今年8月から飼い始めた。「制度がうまくいけば、捨てる人もいなくなるかもしれない」

 プロジェクトは今月15日現在、県内の41地域14市町で実施されている。地域猫対策を実施している有志(構成員)は172人。平成28年度予算で1500万円を計上し、このうち400万円で去勢不妊の手術券222枚を交付した。

 収容数をみると、犬は17年度から10年間で3分の1に減少しているものの、猫はほぼ横ばい状態だ。最大の要因は強い繁殖力にある。猫は生後半年以上で成熟し、3カ月に1度発情する。1回の出産で4~5匹の子供を産むため、1年後には38匹になったというデータもある。

 27年度に県内で収容された猫は2579匹で、このうち7割は生後直後から2カ月の子猫たち。2478匹は殺処分という最期を遂げている。

 新宮市神倉の男性は、親子3匹の地域猫を飼っている。今年7月に引き受けたときは、母親はガリガリにやせ細り、目も片方は見えないほど弱っていた。男性はヨチヨチ歩きの子供たちも含め、餌やトイレなど環境を整えてあげるとすっかり元気になった。「好きだけど飼うことはできない」(男性)という近所の人も、留守中には面倒をみてくれるという。

 「生まれたからには長生きしてほしい。子供のころはみんなかわいいものだが、年老いても死ぬまで面倒をみるのが飼い主の責任です」。男性は、この制度の浸透を望んでいる。

 新宮保健所では、地域猫対策セミナーを12月8日午後1時から同所地下会議室で実施する。