産経ニュース

関川村鳥インフル 風評被害拡大を懸念 新潟知事、手当金など適用を要請

地方 地方

記事詳細

更新


関川村鳥インフル 風評被害拡大を懸念 新潟知事、手当金など適用を要請

 関川村の養鶏場の鶏からH5型の高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されたことを受け、県は29日未明に米山隆一知事を本部長とする対策本部を設け、対応に乗り出した。現地で鶏の殺処分や防疫措置を進めるとともに、米山知事は政府から派遣された細田健一・農水政務官と県庁で対応を協議。風評被害の拡大を強く懸念し「万全の対応をお願いしたい」と細田氏に要望した。

                   ◇

 県は中央家畜保健衛生所(新潟市西蒲区)による検査結果を国に報告し、午前3時35分にH5型の遺伝子が確認されたとの連絡を受けた。関係部局の幹部をメンバーとする対策本部の1回目の会議を午前4時に開催。12月2日までの4日間、24時間態勢で約31万羽を殺処分すると決めた。

 米山知事は4時37分に自衛隊に災害派遣を要請。殺処分は県の職員や自衛隊の隊員らが340人態勢で行い、8時間ごとに交代しながら延べ約3100人が作業に当たる。

 細田氏との協議で、米山知事は風評被害の対策について「県も取り組む」とした上で、国の支援を求めた。また、ウイルスが検出された養鶏場の経営が行き詰まらないように、家畜伝染病予防法に基づく手当金などの適用を要請した。細田氏は「農林水産省として、できる限りの対応を取る」と約束。「被害が広がらないことを第一に迅速に取り組む」と語った。

 この養鶏場から半径10キロ内には59の農場があり、約50万羽の鶏が飼育されている。県は半径3キロ内について鶏や卵などの移動を禁止し、半径10キロ内では区域外への搬出を制限した。県は「死んでいたり衰弱している野鳥を見つけた場合、素手で触れず、すぐに県地域振興局などに連絡してほしい」と呼び掛けている。

 県は関川村と隣接する村上市の国道に計4カ所のポイントを設け、通行車両の消毒を徹底した。また、半径3キロ圏内にある3つの農場で5羽ずつウイルス分離検査などを実施。殺処分による水質汚染を懸念する周辺住民向けの説明会も開き理解を求めた。さらに養鶏場周辺の地下水と荒川、前川の水質調査も始めた。

 周辺の山林では、トビとハクチョウの死骸が1羽ずつ見つかったが、簡易検査では陰性と判明し、ウイルスへの感染はなかった。

 県は午後1時に対策本部の2回目の会議を開催。会議後、米山知事は「新たな感染が見つからなければ、4日である程度のめどはつく」と記者団に語った。

 県は、健康や食の安全について電話で相談を受け付ける窓口を県生活衛生課と12カ所の保健所に設けた。

                   ◇

 ■関川村「一日も早く収束を」

 静かな山あいの集落が物々しい空気に包まれた。関川村には29日、近くの村民会館に夜明け前から自衛隊員や村役場の職員が集合。白い防護服に着替えて慌ただしく出入りする姿を不安げに見つめた周辺住民は「これ以上感染が広がらないで」と祈った。

 第1陣は、まだ暗い午前4時半に出発。鶏を入れた箱に二酸化炭素を注入して殺処分し、地面に埋めていった。10時までに約3400羽を処分。県下越家畜保健衛生所の内山保彦防疫課長(46)は「淡々と終わらせるしかない」とやるせない表情を浮かべた。

 村民会館では、防護服を着た職員らが次のグループの作業に向けた準備を進め、トラックに乗った自衛隊員が続々と集まった。

 同村で地元産の豚や鶏などを加工・販売する女川ハム工房代表の大島信一さん(67)によると、取引先から影響を心配する連絡が10件以上あったという。大島さんは「店で扱う鶏肉は適切に加工処理されている。安全面で誤解が生まれないよう(関係機関は)正しい情報を周知してほしい。一日でも早く収束してほしい」と願っていた。

 一方、国の特別天然記念物トキが飼育され、野生下でも生息している佐渡市では、鳥インフルエンザウイルスの影響を防ぐため、佐渡トキ保護センターなどの飼育ケージの周辺に消石灰をまき、飼育施設への人や車両の出入り時に消毒を徹底する態勢をとった。