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建築美と更生の記録、一冊に 奈良少年刑務所の写真集出版

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建築美と更生の記録、一冊に 奈良少年刑務所の写真集出版

 ■元受刑者らのインタビューも

 国の重要文化財に指定されることが決まり、今年度で廃止される奈良市の奈良少年刑務所の写真集「美しい刑務所 明治の名煉瓦(れんが)建築 奈良少年刑務所」が今月、出版された。約80点の写真に加え、元受刑者や更生教育に携わった関係者へのインタビューも掲載。メッセージ性のある内容に仕上がった。

 ドーム屋根を持つアーチ型の表門や独居房の内部、受刑者によって作られたレンガ。写真集に収められた約80点の写真は建物の細部まで記録している。これらは昨年亡くなった斑鳩町出身の写真家、上條道夫さんが平成22年2月に撮影したものだ。

 「撮影前日に雨が降って、当日は鮮やかな青空が広がった。美しい建物の魅力が伝わるように撮っていただけた」と、写真集を企画、編集した作家の寮美千子さん(61)は言う。寮さんは19年から今年9月まで、同刑務所で講師として、受刑者に詩の授業を行っていた。

 刑務所を取り壊す話が出た2年前には、設計者の孫でジャズピアニストの山下洋輔さんらとともに、保存・活用を目指す市民団体「奈良少年刑務所を宝に思う会」を結成。「今まで一般の人が見ることができなかった刑務所という特殊な空間を、いろんな人に見てもらいたい」と、法務省がまだ保存の方針を示していなかった昨年、写真集の制作を企画した。

 写真集には、元受刑者や更生教育を担当した講師、地元自治会長など、関係者24人へのインタビュー記事も掲載。同刑務所の建物としての魅力だけでなく、その中で行われていた更生教育の様子や、受刑者の思いまでもが伝わってくる写真集となった。

 寮さんは「刑務所の地元とのかかわりや、人権を思う刑務所の基本精神を感じてほしい」としている。

 写真集はB5版、132ページ。税別1800円。問い合わせは西日本出版社(電)06・6338・3078。