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熊本地震半年 復興の願いアジサイに込め福島の中学生が寄贈

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熊本地震半年 復興の願いアジサイに込め福島の中学生が寄贈

 復興への願いをアジサイに込めて-。東日本大震災でダム湖が決壊し、死者・行方不明者8人を出した須賀川市長沼地区の中学生が、4月の熊本地震で大きな被害を受けた中学校にアジサイの苗を贈った。このアジサイは決壊したダム湖の底から見つかったもので、地区の“復興のシンボル”。生徒たちは「熊本の人たちの希望になれば」と願っている。(野田佑介)

 ◆ダム湖底から発見

 長沼地区にあった藤沼湖は、農業用水を貯めるなど地域の水がめとして使われていたが、震災でダムが崩壊。東京ドーム1杯分を超える150万トンの水が一気に下流の集落をのみ込んだ。7人が犠牲になり、当時1歳の男児の行方は今も分かっていない。

 震災から2年後、水の抜けた藤沼湖の湖底にアジサイの苗が群生しているのを、地元の商工会関係者が偶然見つけた。なぜ湖底にアジサイがあったのかは分かっていないが、地域の人たちは復興の象徴にしようと「奇跡のアジサイ」と名付けた。

 アジサイを贈るのは同市立長沼中学校の生徒たち。生徒会長で3年の大森希歩(のあ)君(15)の自宅にも濁流が押し寄せた。幸い家族は無事だったが、自宅は半壊。東京電力福島第1原発事故の影響で外出が制限されるなど、不自由な生活を余儀なくされた。

 それから5年余り。熊本地震の被災地の様子をテレビで見た大森君に、震災時の記憶が鮮明によみがえった。「あのときはものすごく揺れて、すごく恐かった。自分たちと同じ年代の人たちは大丈夫だろうか」。何か力になれないかと考え、生徒会でアジサイを贈ろうと提案した。

 「上を向いて歩こう!」「みんなで一緒にがんばりましょう」「かならず元気になります!」-。

 20株の苗とともに、アジサイの花をかたどった色紙に全校生徒172人のメッセージも添えた。大森君は「たくさんの人に支えてもらったおかげで、ここまで復興することができた。今度は僕たちが支える番。アジサイを見て、少しでも元気になってもらえたらうれしい」と話す。

 ◆「互いに支えたい」

 アジサイを受け取った熊本県宇土市の市立住吉中学校では多くの生徒が被災。いまだに余震が続いている。佐渡(さわたり)清校長(56)によると、その多くが車中泊を経験し、仮設住宅から通う生徒もいるという。

 「地震で心に大きな傷を負った子供もおり、震災を経験した同世代の子供たちが心を寄せてくれることはありがたい。アジサイは宇土市の花でもある。これを機に交流を深め、互いに支え合いながら逆境を乗り越えていきたい」と期待を寄せている。