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【新潟県知事選 記者座談会】(上)米山氏の草の根活動奏功

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【新潟県知事選 記者座談会】
(上)米山氏の草の根活動奏功

 16日投開票された知事選は、医師で弁護士の米山隆一氏(49)=共産、自由、社民推薦=が前長岡市長の森民夫氏(67)=自民、公明推薦=ら3候補を破り、初当選を果たした。事実上の一騎打ちとなった両陣営の戦いぶりを担当記者が2回に分けて振り返る。

 --米山氏は森氏に約6万3400票の差をつけて勝った

 A「取材では横一線の激戦と聞いていたので、どちらが勝つにしても7月の参院選新潟選挙区のように数千票以内の差だと思っていた。正直、驚いた」

 B「原子力規制委員会の審査が終盤にさしかかる中、米山陣営は、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働への対応を最大の争点に据えて『ワンイシュー(一つの争点)』化することで、政府や東電への不信感がくすぶる県民感情をうまく取り込んだ。この程度の差がつく勢いがあった」

 C「出馬表明が告示直前だっただけに、ここまで差が付いたのは、やはり意外だったな」

 --米山氏の勝因は

 B「有権者と触れ合う草の根型の活動も功を奏した。選挙戦終盤に『命と暮らしを守れない現状では、原発再稼働は認められない』と、分かりやすいメッセージを伝えたこともあり、共同通信の出口調査では無党派層の約7割の支持を得た。野党3党や市民団体が県内全域を遊説で駆け回り、建設業界や農協などの保守層にも食い込んだ」

 A「原発の再稼働に反対とまで言わないながらも、否定的な考えを明確にすることで、県民の安全、安心を守ってくれるのではといったイメージを作ることに成功したのではないか」

 --森氏の敗因は

 A「清新さに欠けた。決起集会などで偉い人をずらりと並べ、紹介する旧来型の方法にも限界を感じた。応援演説の弁士も若い人や女性の方がよかった。市長時代からの支援者を中心とした長岡の選挙対策本部と自民党県連との連携も機能していなかったのではないかな」

 B「政党の主義・主張や政策だけを基準に判断しなくなってきた有権者の変化を、捉えきれていなかったのではないか」

 --開票時の陣営の様子は

 B「米山陣営の支援者は穏やかな表情でテレビの開票速報を見つめ、出口調査で優勢を伝えられると一斉に席を立ち、握手を繰り返して喜んでいた。野党各党と市民団体の間に固い絆が生まれていると感じた」

 A「森陣営は静まり返っていて、負けを覚悟していた感じだった。参院選のときは沸く場面もあったけど、今回は一つもなく、取材をしていて、いたたまれない気持ちになったね」

 --投票率は53・05%で、過去最低だった平成24年の前回選(43・95%)を上回った。有権者の関心は高かったのか

 A「50%台前半では高かったとはいえない。有力候補者には、やってくれそうだという期待感を抱かせるものが欠け、有権者を引きつける個人的な魅力もあまり感じなかった」

 C「原発をめぐる『県民投票』の様相だったとの指摘もあったが、有権者の半数近くが棄権する選挙では本当の民意が見えてこない不透明感も残った」

 B「前回より9・10ポイント高いとはいえ、低かった。経済や雇用など原発以外の課題が埋没し、関心を持たなかった有権者が少なくなかったのではないか」