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【日本の源流を訪ねて】旧三井港倶楽部(大牟田市)

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【日本の源流を訪ねて】
旧三井港倶楽部(大牟田市)

一般公開されている旧三井港倶楽部 一般公開されている旧三井港倶楽部

 ■地元有志が救った迎賓館

 三井三池炭鉱とともに歴史を歩んだ福岡県大牟田市に、三井財閥の迎賓館が今も残る。広大な庭園の中に、建物は格調高いたたずまいをみせる。足を踏み入れると、社交場として国内外の要人でにぎわった光景が目に浮かぶ。

 明治41年に建設された。木造2階建てで、レストランのほか、応接室や談話室がある。大理石のマントルピースや装飾の施された柱、豪華な調度品が、上品な雰囲気を醸し出す。

 限られた人間だけが使っていた館は、今は一般公開され、誰でも自由に入ることができる。レストランや結婚式場、法事にと広く利用されている。

 開館当初、石炭積み出しに来日した外国の高級船員の宿泊や、接待の場所だった。その後、三井グループの迎賓館として利用されるようになった。

 昭和天皇ら皇族も来館されたという。昭和天皇がほど近い三川坑に入坑された際の写真や、身につけられたヘルメットなども館内に展示している。

 昭和62年に一般公開が始まり、市の観光名所となった。

 しかし、三池炭鉱の閉山後、倶楽部を所有していた三井鉱山(現日本コークス工業)は経営難に陥った。産業再生機構の支援を受けることになり、平成16年12月25日、施設はいったん閉館した。

 市も財政的な問題から引き受けることができず、取り壊しも検討された。しかし、地域住民は貴重な遺産として保存を願った。

 経済団体などが保存を呼びかける署名活動を行い、約3万人の署名が集まった。地元の会社経営者ら有志は、株式会社「港倶楽部保存会」を設立した。保存会の管理の下、平成17年11月6日、「旧三井港倶楽部」として営業を再開することができた。

 同年12月には、大牟田市の指定文化財となり、19年には経済産業省の近代化産業遺産にも認定された。

 館内のインテリアやトイレなど、現役の設備はとても興味深い。

 ただ、西洋建築の傑作といわれる建物も、開館から108年を迎え、老朽化が進む。雨漏りがするところもあり、維持や修繕には多くの費用が必要だという。

 関係者は、多くの人に愛され続ける施設にしたいと知恵を絞る。柿原達也支配人(61)は「雰囲気に合うイベントを企画しながら、誰もが、ゆっくりとくつろげる場所にしたい」と語った。

 周辺の名所と合わせて散策するのも楽しい。三川坑跡では、平成9年の閉山まで石炭や炭鉱従業員の輸送に活躍した電気機関車「炭鉱電車」が展示されている。遺産を巡れば、日本を支えた石炭産業とエネルギー革命の軌跡を、感じることができる。(九州総局 高瀬真由子)

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 福岡県大牟田市西港町2の6。午前10時開館。ランチは午前11時半~午後2時半、ディナーは予約制で午後5時~9時。毎週火曜日定休。問い合わせは(電)0944・51・3710。