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【みちのく会社訪問】オンエモーション(仙台市青葉区)

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【みちのく会社訪問】
オンエモーション(仙台市青葉区)

 ■「育児パッケージ」 日本向けに開発

 世界一の福祉国家として知られるフィンランドの育児パッケージを参考にした商品「ノルディックベイビーバスケット」の取り扱いを5月から国内で初めてスタートした。

 日本ではなじみのない育児パッケージだが、フィンランドでは子供が生まれると、国から0、1歳児が必要なベビー服や帽子、靴下など一式が入った箱「アイティウスパッカウス」を支給してもらうか、もしくは現金140ユーロ(約1万6千円)を選ぶことができる。箱の底にはマットレスが敷かれており、そのまま簡易ベッドとしても使える優れものだ。

 「素晴らしい制度。自分たちで日本向けに改良して販売しようと思った」と石原敏行社長(42)は話す。

 本業はホームページ制作やソフトウエア開発。学習塾の講師をしていた石原社長が独学でプログラミングを学び、平成20年に会社を立ち上げた。育児パッケージの存在を知ったのは、昨年2月に仙台で開かれたフィンランドのフェアに足を運んだときのことだ。

 商品化に向けて積極的に動いた社員の小池可夏さん(32)は「赤ちゃんが生まれて最初に何を買ったらいいか分からないお母さんたちにとって、とても便利なもの。福袋が好きな日本の文化にも合う」と考えた。

 福祉に関する事業支援などを行っている「仙台フィンランド健康福祉センター」の紹介で、欧州などで育児パッケージの販売を手がけるフィンランドの起業家、レティシア・マリネンさんと知り合い、日本向け商品の開発を進めた。レティシアさんの取り扱う商品は肌触りの優しいオーガニックコットンの生地に、カラフルなデザインが特徴。乳幼児向けとしては、日本ではなかなか手に入りにくいものだ。

 「最初はコストを下げようとしたが、『せっかく生まれた赤ちゃんには良いものを着せないとダメよ』というレティシアさんの助言も参考にした」と小池さん。

 同社ではこれまで輸入は手がけたことがなく、繊維の検査や証明書の準備、英語でのやり取り、通関手続きなど、すべて一からの挑戦だった。石原社長も昨秋、フィンランドでレティシアさんと面会。1年半以上をかけて、服やおもちゃ、おくるみ布など34点が入った「ノルディックベイビーバスケット」を完成させた。

 販売開始を知らせると、すぐに多くの反応が寄せられた。「全国から問い合わせがあった。中でもギフト用に手頃な価格で買いたいという要望が多かった」(石原社長)といい、ギフト用のパッケージ開発も進めている。

 石原社長は「海外の人たちも仕事で関わってみると非常にまじめ。今後も一緒に仕事をしたいと思うようになった」と話す。自らのお気に入りであるフィンランドの木工細工の取り扱いも始めた。「本業と並行して、フィンランドとのさまざまなプロジェクトを一つ一つ進めていきたい」と意気込んでいる。(大渡美咲)

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 仙台市青葉区春日町10の22 第2春山ビル2-M(電)022・797・0475。平成20年にウェブサイト企画・制作、ウェブアプリケーション開発などの制作会社として創業。地元企業の不動産ポータルサイトの制作、病院・福祉関連施設サイトの制作、建設会社のウェブサイトの制作などを手がける。資本金300万円。従業員2人。

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 【取材後記】タコ柄のベビー服やユニークなデザインのロンパースなど、これまであまり見たことのない育児用品の数々。子供が生まれた知り合いにぜひプレゼントしたいと思いました。本業のウェブ制作から全くの異分野に挑戦するには勇気が必要です。それでも事業を新規開拓し、「海外が近くなった」と笑顔をみせた石原社長と小池さん。今後の事業展開がますます楽しみです。