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相模原殺傷 障害者への偏見どう醸成 経緯解明がカギ 容疑者を鑑定留置 神奈川

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相模原殺傷 障害者への偏見どう醸成 経緯解明がカギ 容疑者を鑑定留置 神奈川

 相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が殺害された事件で、横浜地検は21日、元職員の植松聖(さとし)容疑者(26)=殺人容疑で再逮捕=の鑑定留置を始めた。これまでの県警の調べで浮かび上がる犯行の計画性と異常性。一方的な障害者への偏見がどのように醸成されたのかが事件解明のカギとなる。地検は植松容疑者の精神状態を調べる過程で、こうした経緯を幅広い知見から明らかにする方針だ。(川上朝栄)

 ◆今回は4カ月

 精神科医による精神鑑定が行われる鑑定留置の期間は通常2、3カ月だが、今回は約4カ月。「医師の意見を考慮した」(横浜地検)といい、責任能力の有無を調べるために綿密な鑑定が行われることになる。

 医療機関に入院させたうえで、様子を確認したり、本人の病歴、生い立ちなどに関する資料を基に脳波検査や心理テストを行い、知能などもチェック。精神科医が本人に直接面談し、事件当時の精神状態を分析したり、精神障害などが犯行にどのような影響を及ぼしたのかを調べて、鑑定書にまとめる。

 精神鑑定の経験が豊富な昭和大学の岩波明教授(精神医学)は「医学的な見地から、しっかりとした情報を捜査機関に提供することが鑑定医の役割」と話す。

 ◆焦点は「犯行時」

 植松容疑者は2月、精神保健福祉法に基づく措置入院となった際に「大麻精神病」「妄想性障害」と診断され、3月下旬に同じ病院を外来受診した際には「抑鬱状態」「躁鬱(そううつ)病の疑い」と診断されていた。

 薬物事件に詳しい小森栄弁護士は「これらはあくまで犯行前の診断。鑑定では犯行時の精神状態がどうであるかが焦点になる」としている。

 一方、岩波教授は「精神障害がどの程度影響を与えたのか見極めなければならない」としながらも、「自分の意志で薬物を摂取し、精神障害を引き起こしたとするのなら、『刑事責任能力あり』とみなされるのではないか」とみる。

 ◆善悪判断は?

 捜査関係者によると、精神障害の影響が大きく、善悪の判断が全くつかない「心神喪失」と診断された場合、刑法で「心神喪失者の行為は、罰しない」とされているため、無罪となる可能性が高い。また、精神障害の影響を受け、善悪の判断能力が著しく低下している状態である「心神耗弱」と診断された場合は減刑の対象となる。

 ただし、偏った人格に起因するものと診断された場合は「責任能力がある」として、減刑対象とならない可能性があるという。

 事件の全容解明に向け、地検は「精神医学だけでなく、社会心理学の専門家にも、(植松容疑者が)なぜ極端に偏った考えを抱くようになったのか意見を聞きたい」としている。