産経ニュース

映画の町・石巻、掘り下げ発信 地域雑誌が特集 「津波で…文化見直し」 宮城

地方 地方

記事詳細

更新


映画の町・石巻、掘り下げ発信 地域雑誌が特集 「津波で…文化見直し」 宮城

 東日本大震災で大きな被害を受けたふるさとの文化を多くの人に伝えていこう-。そんな思いで創刊された地域雑誌「石巻学」の2号がこのほど刊行された。東北有数の港町・石巻はかつて19館もの映画館を有した「映画の町」だったという。石巻の映画の聖地と親しまれながら津波で建物が流失した「岡田劇場」などをベースに、石巻市民の最大の娯楽だった映画にまつわるエピソードを取り上げている。

 石巻学は横浜市在住のサーカスプロデューサー、大島幹雄さん(63)が代表を務める「石巻プロジェクト」が発行する地域雑誌。石巻市出身の大島さんは、江戸時代に石巻から出航して遭難し、ロシアに漂着した後、世界一周して帰還した千石船「若宮丸」に興味を抱き、「石巻若宮丸漂流民の会」を作り、研究を始めた。

 震災後は「地元のために何かをしたい」と、復興途上のふるさとの文化や歴史を残していくため、同プロジェクトを立ち上げた。大島さんは「津波は地域の歴史や文化を根こそぎ持っていってしまう。もう一度地元を足元から見直す必要がある」と力を込める。

 2年ほど前から準備を始め、石巻市芸術文化振興財団の阿部和夫理事長や石巻千石船の会会長の辺見清二さんら石巻にかかわる人に取材を重ねた。昨年12月、創刊号を刊行した。

 第2号は特集「港町シネマパラダイス」を中心に、石巻で映画にかかわる人々にインタビュー。元テアトル東宝支配人の稲井峯弥さん、岡田劇場で作品を上映したオカダプランニング会長の菅原宏さんといったかつての興行主らの座談会など、映画の街としての石巻の魅力を掘り下げた内容となっている。

 大島さんは言う。

 「昔の船乗りの楽しみは映画で、石巻には19カ所も映画館があった。映画を見せたい人がいて、受け取る人たちがいたという事実を現在も引き継いでいる人たちがいる。そうした思いを知ってもらえたら」

 石巻学は2年で3号の発行が目標。大島さんは「いろんな視点で石巻を切り取って、楽しく地元の良さを知ってもらえる雑誌を作っていく」と話している。(大渡美咲)