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水害懸念の中橋、改修へ検討委 「69年前の犠牲者に報いることが…」 栃木・足利

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水害懸念の中橋、改修へ検討委 「69年前の犠牲者に報いることが…」 栃木・足利

 足利市内の渡良瀬川流域で最も水害の危険性が懸念されている中橋周辺の改修に向け、河川管理者の国土交通省と県、足利市が「中橋整備検討委員会」を設置し、本格的に検討を始めた。69年前のカスリーン台風で大きな被害があったこともあり、地元では「ようやく犠牲者の思いに報いることができる」との声が漏れている。

 中橋は同市通と南町を結ぶ県道に架かる約300メートルの橋で、昭和11年に造られた。中橋両岸は市中心部で、特に北側の左岸は商店や住宅などが密集、史跡足利学校や鑁阿寺(ばんなじ)などの文化遺産もある。

 22年のカスリーン台風の被害を受け、国が渡良瀬川堤防のかさ上げ工事を順次進めたが、中橋は架け替えられなかった。このため橋の部分だけ堤防が途切れた状態になり、同市内で渡良瀬川に架かる計11カ所の橋の中で唯一、国の計画高水位時には橋桁にまで水が達する重要水防箇所に指定。洪水に備え、橋の近くに土嚢(どのう)2千袋が用意されている。

 過去に何度か改修が検討され、約20年前には国、県、同市で協議会が結成された。地元説明会も進められたが、地元の同意が得られないなどで改修は頓挫した。中橋はJR両毛線に近く、架け替えの場合は線路をまたぐ陸橋となり、地元商店街には「人通りが減る」など影響を懸念する意見が強かったという。

 昨年9月の東日本豪雨で茨城県内の鬼怒川が決壊したことなどを受け、国は7月、県と同市に働き掛け、検討委員会を立ち上げた。今後、現状の把握や改修に向けた検討に入る。国交省関東地方整備局渡良瀬川河川事務所は「県、市と三者で話し合いを進め、改修に向け、一歩でも前進させたい」としている。

 カスリーン台風では中橋の下流約1・5キロの堤防が決壊、同市で321人が犠牲となる大惨事となった。毎年、現地で慰霊祭を営む地元の住職、源田晃澄(こうちょう)さん(73)は「大雨の度に中橋周辺からの洪水を恐れてきた。ようやく改修工事が本格化することになり、犠牲者の長年の思いがかなうことになる」と話した。(川岸等)