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【日本の源流を訪ねて】西住公園(熊本県甲佐町)

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【日本の源流を訪ねて】
西住公園(熊本県甲佐町)

西住戦車長の顕彰像が建つ「西住公園」。人気アニメ「ガルパン」ファンも注目する 西住戦車長の顕彰像が建つ「西住公園」。人気アニメ「ガルパン」ファンも注目する

 ■軍神たたずむ像、アニメファンの聖地に

 さきの大戦中、「昭和の軍神、西住戦車長」と称えられた西住小次郎陸軍中尉=死後に大尉=を顕彰する「西住公園」が、生まれ故郷の熊本県甲佐町にある。町役場から北西方向約500メートルの水田地帯の一角。顕彰像が今も静かにたたずむ。

 4月の熊本地震で甲佐町も被災した。それでも同公園と像は無事だった。国産初の戦車「八九式中戦車」の司令塔(キューポラ)から身を乗り出す雄姿にも、変わりはない。

 敷地内には「陸軍少年戦車兵学校同窓一同」による記念樹もあり、生死を共にした戦友の絆の強さを感じさせる。

 西住氏は大正3年、甲佐町仁田子に生まれた。甲佐尋常小、旧制御船中を経て、陸軍士官学校に入学。昭和12年に支那事変が勃発すると、上海派遣軍として出征。戦車第1連隊の戦車長として戦線に赴いた。

 13年5月17日、徐州会戦では、クリーク(小運河)の多い地形の中で、戦車が渡れそうな場所を単身、偵察任務に当たった。その中で狙撃されて右大腿(だいたい)部を負傷。部下の兵士が介抱したが、戦車の中で出血多量により戦死した。享年24だった。

 乗っていた戦車には千発を超す被弾痕があったと伝えられる。やがてこの話をマスコミが一斉に報じ、「軍神」とたたえられた。陸軍報道部も翌年3月、西住氏を「申し分ない典型的武人」「忠烈鬼神を泣かしむる鉄牛隊長」として顕彰した。軍の意向に沿って菊池寛が執筆した小説『西住戦車長伝』は映画化もされた。

 顕彰像は昭和53年の命日(5月17日)に、西住戦車長顕彰会が建立した。現在も毎年、命日前後の日曜日に慰霊祭も営まれ、70~80人が参列している。

 慰霊祭の事務局を担う同町出身の元自衛官、早崎剛(こわし)氏(64)は「西住戦車長を知らない人も多くなり、語り継ぐ活動を続けたい。今年は地震で中止としたが、来年には再開したい」と述べた。

 一方、西住氏の知名度は今、一定の若者を中心に急上昇している。

 女子高生が茶・華道ならぬ「戦車道」を極めようと奮闘する人気アニメ「ガールズ&パンツァー」の影響だ。主人公は熊本出身の「西住」で、戦車道の流派を「西住流」と設定している。

 西住公園は、アニメファンがゆかりの地を訪ねる“聖地巡り”でも注目されている。故人もさぞや、驚いているに違いない。(南九州支局 谷田智恒)