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世界的建築家・坂茂氏設計の木造仮設住宅が完成 熊本・御船町

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世界的建築家・坂茂氏設計の木造仮設住宅が完成 熊本・御船町

坂茂氏が設計した木造仮設住宅。天井が高く、遮音性能も高めた 坂茂氏が設計した木造仮設住宅。天井が高く、遮音性能も高めた

 世界的な建築家として知られる坂茂氏(59)らが手掛けた木造仮設住宅が熊本県御船町に完成し、報道陣に公開された。2日から入居が始まる。坂氏は「仮設住宅でも住み心地がよくなるように改善する活動を続けたい」と述べた。 

 坂氏は平成7年の阪神大震災以降、被災地で活用される建築に力を入れてきた。紙管やコンテナを利用した仮設住宅や、プライバシーのない避難所用に、間仕切りシステムを開発した。こうした点も評価され26年、「建築界のノーベル賞」と称される「プリツカー建築賞」を受けた。

 熊本地震に際しても「避難所生活を少しでも快適にしてほしい」と、熊本県内40カ所の避難所に、計2千セットの間仕切りを無償提供した。

 さらに、県が一部の仮設住宅を木造とする方針を打ち出したことを受け、坂氏が設計を手掛ける仮設住宅プロジェクトが進行した。御船町小坂の竹やぶだった空き地2カ所に、木造仮設住宅3棟10戸が完成した。

 仮設住宅は2DK(約30平方メートル)7戸と、3K(約40平方メートル)3戸。天井が2・4~2・7メートルと高く、部屋と部屋の間に、収納空間を配した。

 柱や壁には、工場で作った木のフレームと合板を組み合わせた木質パネルを使用する。現場での工期は約1カ月足らずという。

 坂氏が主宰するNPO法人「ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)」(東京)の原野泰典事務局長は「十分な遮音性能を確保した。また、木質パネルを使う仕組みは安価で、多様なオーダーにも対応できる。坂建築の真骨頂が発揮された」と解説した。

 坂氏らは今後も、慶応大や熊本大と共同で、建築からの被災者支援を続ける方針という。坂氏は「予算や広さには制約があるが、住環境のグレードアップは欠かせない。仮設住宅を住みやすく改善する努力を続けたい」と述べた。(谷田智恒)