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【混迷・アウガ 三セク破綻と市政への波紋】(上)

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【混迷・アウガ 三セク破綻と市政への波紋】
(上)

 ■“負の遺産”運営見通しに甘さ 既存店と併存、街づくり“二律背反”

 地上9階、地下1階の複合ビルであるアウガは佐々木誠造・前青森市長時代の平成13年に開業した。衣料品店や飲食店などのほか、図書館などの公共施設も入居。人口減少に備えて中心市街地の都市機能を集約する「コンパクトシティー」のモデルケースとして全国から視察が相次いだ。

 しかし、郊外に流通大手が大型ショッピングセンターを建設すると客足が流れ、開業直後からテナントの売り上げが低迷した。

 21年に鹿内博市長が就任後、三セクに2億円を融資するなど立て直しを図ったが、昨年度決算で約24億円の債務超過に陥り、事実上の経営破綻状態となった。三セクの法的整理は時間の問題だ。

 「新町商店街が廃れる中でアウガに期待するのはもう無理。なぜ、こうなる前に何とかしなかったのか。鹿内市長はもちろん佐々木市政の時に賛成した市議会にも責任がある」

 市内で理髪店を営む男性(42)は街づくりに対する行政の見通しの甘さを指摘する。別の主婦(53)は「私たちの年代が欲しい商品がない」と魅力の乏しさを強調する。確かに商品のラインアップが若者中心に偏重するため、比較的安価で、客単価が低くなることも収益面に少なからず影響を与えているとの声もある。

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 市が抜本的な再建策を打ち出せないまま、重大な局面を迎えたことについて、長年アウガ問題に関わってきた元青森公立大教授の天野巡一氏(75)は、以前から鹿内市長に近い人物に対してアウガの在り方について警鐘を鳴らしてきたという。

 天野氏は「全国の三セクで赤字のケースが増える中で進めてきた政策のツケ。最初から無理があった」と話し、アウガが前市政からの“負の遺産”となっていることを指摘する。同時に「昔ながらの個店とアウガが客を取り合っている」とし、既存の商店街とアウガが併存し、“二律背反”となっている街づくりそのものの問題点を挙げる。

 東京都武蔵野市の誘致で昭和46年に吉祥寺にオープンした大手百貨店の伊勢丹は平成22年に閉店した。背景には吉祥寺の目覚ましい発展と相反するかのような百貨店業界の低迷、近隣店舗との競争激化などがあったとされる。

 天野氏は「大都市圏に比べて人口の少ない青森市で客を受け入れる市場のパイは小さい。きちんとした方向性、戦略性を打ち出さないと(既存商店街とアウガが)共倒れになる」と危惧する。

 アウガ問題は、少子高齢化、人口減少社会の中で街づくりの方向性を問う、市政全体の問題としてとらえなければならない時期に差し掛かっている。(福田徳行)

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 青森市のJR青森駅前の複合商業施設「アウガ」が存続の危機を迎えている。運営する第三セクター、青森駅前再開発ビルが経営破綻状態に陥ったことで、法的整理が時間の問題となっているためだ。多額の債務処理に市が有効な手段を打ち出せなかったことで市長の辞任表明にまで発展した。街づくりの在り方に課題を突き付け、市政混迷の背景を探った。