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【東秩父物語(2)】無形文化遺産「細川紙」 人の心を「手漉き」に込めて

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【東秩父物語(2)】
無形文化遺産「細川紙」 人の心を「手漉き」に込めて

工房最年少の奥村紗希さん(右)と鷹野禎三さん 工房最年少の奥村紗希さん(右)と鷹野禎三さん

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 鷹野さんは村で生まれ育った。終戦時は10歳。「家では夜中でもゴンゴンと機械の音がしてね、うるさいなと思った記憶がありますよ」。教えてくれたのは、戦争末期に日本が米国本土攻撃を目的に生産した風船爆弾に関わる思い出だ。爆弾の組み立ては東京の国技館で行われたが、気球に使われる紙は、村や小川町などで生産されていた。

 「おやじはいつ召集令状が来るかわからないから紙の仕事をやめていたけれど、道具は貸せと言われ、風船爆弾の原料を砕いたり煮たりしていたんだね」

 戦時中の学校で、忘れられない光景もある。

 「焼け出されて村に疎開してきた子たちが学級に5、6人いて、弁当の時間になると外に出ていく。あるとき何してるのかと見に行ったら、日向ぼっこをしながら空腹に耐えていた。食う物がなかったんだね」

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