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「シナノゴールド」欧州進出 世界ブランドへ第一歩 イタリアの大規模栽培で契約締結

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「シナノゴールド」欧州進出 世界ブランドへ第一歩 イタリアの大規模栽培で契約締結

 リンゴの県産オリジナル品種「シナノゴールド」がイタリアで大規模に商業栽培されることが正式決定し、同国の生産団体と県との間でライセンス契約が24日、締結された。シナノゴールドはすでにイタリア最北部の南チロルで試験栽培が続けられており、市場からの評価も高い。欧州リンゴ市場で最主要品種の「ゴールデンデリシャス」に代わって本格的な大量栽培・消費が期待され、信州で産声を上げたリンゴが欧州各地で食べられるようになる日は近い。

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 契約を結んだのは南チロル果物生産者協同組合(VOG)とヴァルヴェノスタ協同組合(VI・P)。2007(平成19)年からシナノゴールドの試験栽培を始めていた。

 県農政部によると2団体の合計リンゴ生産量は年間96万トン。日本全体の76万トンを凌駕(りょうが)し、県内生産量の6倍にも及ぶ。イタリア国内のリンゴ消費量は1人当たり年間25・7キロで、日本人の5・3キロをはるかに超え、マーケットの大きさは日本の比ではないという。

 契約期間は2030(同42)年12月末まで。品種名を商品名にするのは権利保護の面から難しく、英語の「yellow(黄色い)」と「hello(こんにちは)」を組み合わせた造語「yello」を商標として登録し、2団体はEU(欧州連合)諸国やスイス、ロシアなどで独占的に販売できる。契約には、パンフレットやウェブサイトに「日本国長野県が育成した品種」と表記することも盛り込んだ。

 ライセンスの許諾使用料は、苗木や果実の販売金額に対して生じ、金額は公表しない。県農政部は「使用料は県の収入として次のオリジナル品種育成に充てたい」とする。果樹に関して公的機関が開発した品種が、海外の生産者団体とライセンス契約を結ぶのは全国でも他に例がないという。

 県庁で行われた調印式で阿部知事は「大切に産み育てた子供を留学させるような思いであり、末永く愛情を持って育ててほしい」とあいさつした。VOGのゲオルグ・ケスラー社長は「シナノゴールドは世界的ブランドとして『yello』の名で広がるだろう。きょうは歴史的な日になった」と応じた。

 2団体は2年後に栽培面積を最大30ヘクタールまで拡大し生産の拡大を図る。11月には南チロルで開く国際果実見本市で欧州市場向けの発表会を盛大に行う予定だ。ケスラー氏は阿部知事に「ぜひその時は南チロルを訪れてほしい」と要請した。

 ゲハルト・ディヒガンスVOG最高経営責任者は調印式後の取材に「2月のローマなどでの市場アンケートでは見栄え、味ともゴールデンデリシャスをはるかにしのぐ非常に高い評価だった」と語り、今後の生産拡大に手応えを示した。

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【用語解説】シナノゴールド

 県果樹試験場がゴールデンデリシャスと千秋(せんしゅう)を交配し開発、平成11年に種苗登録した。甘みと酸味のバランスに優れ、濃厚な味が特徴。栽培しやすく収量性が高いうえ、貯蔵性にも優れている。