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ウズベキスタンで抑留者資料館運営・スルタノフさん、京都の引揚記念館訪問

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ウズベキスタンで抑留者資料館運営・スルタノフさん、京都の引揚記念館訪問

 ■「交流深めたい」

 中央アジアのウズベキスタンで、私費で日本人抑留者資料館を運営しているジャリル・スルタノフさん(71)が、舞鶴引揚記念館(舞鶴市平)を訪問。同館を見学したほか、同地で抑留生活を送った経験がある新家苞(にいのみ・しげる)さん(91)=大阪府高槻市=と面会も果たした。「これをきっかけに日本とウズベキスタンの交流が深まれば」と、スルタノフさんは語った。

 スルタノフさんは同国の首都・タシケントに住み、14歳のころ初めて日本人抑留者に興味を持った。「引っ越し先の家の近くにある高圧送電線が、日本人が工事したものだった。ていねいな仕事だとみんなほめていた」。その後、日本人抑留者が手がけた建造物などが同地に数多くあることを知り、興味を深めていったという。

 日本人抑留者が建設にかかわった建物の1つナヴォイ劇場は、中央アジアでも屈指の劇場として知られるが、1966年に発生した大地震でも被害がなかった。当時の日本人の仕事ぶりを示すものとされる。ウズベキスタンには“親日家”が多いといい、スルタノフさんも「子供のころ大人たちから、日本人のような立派な仕事をする人になれと言われた」と話す。

 旧ソ連からの独立後、スルタノフさんは自ら日本人抑留者の関連資料などを集め、1998年に日本人抑留者墓地近くに抑留者資料館を開設。安倍晋三首相が昨年タシケントを訪問し、スルタノフさんと面会、日本に招待した。今回の舞鶴引揚記念館の訪問は、スルタノフさん自身が希望したものという。

 市民ら100人余りがウズベキスタンの国旗を持って出迎える中、同館に入ったスルタノフさんは、多々見良三市長らと握手。新家さんとも対面し、感激の表情を見せた。また、山下美晴館長の案内で同館の展示室を回り、ウズベキスタンの関連資料などを興味深く見ていた。

 スルタノフさんは地元の中高生らに日本人抑留資料館などについて説明。「若者は自国の歴史にあまり興味を持たないが、戦争のつらい時代にもぜひ関心を持ってほしい。日本人がウズベキスタンに抑留され、地元の人たちとも交流を持っていたことを知ってほしい」などと呼びかけた。

 この後、スルタノフさんの孫のリソラット・スルタノヴァさんが、ウズベキスタンの伝統舞踊を披露。プレゼントを交換するなどして交流を深めた。スルタノフさんは「ウズベキスタンを知らない日本人は多いと思うが、我々は日本にたいへん親しみを感じている。両国の特に若い人たちの交流が盛んになることを期待している」と話した。