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大阪市の助成“復活” ミナミの映画祭、新たなスタート

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大阪市の助成“復活” ミナミの映画祭、新たなスタート

 「日本の映画興行発祥の地」であり、かつて映画の街として栄えた大阪・ミナミで映画祭が復活する。2月9~15日、千日前のトリイホールで催される「精華千日前キネマ映画祭」。映画祭は、平成17年から毎年開催されていたが、橋下徹・前大阪市長時代の25年、実行委員会の中心メンバーだった市が脱退したため、継続断念を余儀なくされた。だが、今回、新たに市に申請した助成金の交付が決定。開催にこぎつけた関係者は「新たなスタートに」と意気込んでいる。

 日本の映画興行発祥の地となった「南地(なんち)演舞場」は明治21年、現在の南海難波駅前にある商業施設「なんばマルイ」の場所に設立。30年2月15日にフランス人のリュミエール兄弟制作の映画が上映されたのが、日本初の映画興行となった。

 明治末期には、現在の千日前商店街の一角に大阪初の映画制作会社「三友(さんゆう)倶楽部」も設立され、ミナミは映画の街として繁栄。しかし、バブル経済が崩壊して以降、シネマコンプレックス(複合映画館)の普及などに伴い、いつしか昔ながらの映画館や劇場はなくなっていった。

 映画祭は映画興行発祥の地を顕彰しようと平成17年にスタート。以降、毎年開催され、20年には、千日前商店街に「三友倶楽部」の歴史を紹介した記念レリーフも設置された。

 ところが、橋下市長時代の25年、中心となって開催してきた大阪市が映画祭の実行委員会から脱退したため、やむなく継続を断念した。

 だが、地元は諦めなかった。「この場所は映画の原点。いつまでも多くの方に覚えておいてほしい」と、千日前商店街振興組合や精華連合振興町会などで構成される「精華千日前キネマ映画祭」実行委員会が立ち上がり、市の助成事業に申請。新たに助成金交付が決まり、3年ぶりの開催にこぎつけた。

 映画祭は初上映された2月15日に合わせて実施。千日前一丁目振興町会会長で弘昌寺住職の鳥居学さんは「初の興行が無声映画だったことから、上映作品も無声映画にとことんこだわった」と説明する。

 期間中は日替わりで5人の弁士による無声映画を10本以上上映する。「記念日」でもある15日は、阪東妻三郎出演の「雄呂血(おろち)」(大正14年)を上映。弁士を第一人者の澤登翠(さわと・みどり)さんが務めるのも見どころの一つだ。11、13日は浪曲師の春野恵子さん、12、14日は講談師の旭堂(きょくどう)南海さんも弁士として登場する。

 同実行委員会の菊地正紀委員長は「小さな灯火でも続けていけば、いつか大きな火になると思う。それが大事」と、いつかミナミが映画を愛する人々であふれることを期待している。

 料金は1回千円、各日午前11時~と午後3時~の2回上映。完全入れ替え制。問い合わせはトリイホール(電)06・6211・2506。