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【歴史戦】「米国巻き込み中・韓に対抗を」 事なかれでは未来志向築けぬ

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【歴史戦】
「米国巻き込み中・韓に対抗を」 事なかれでは未来志向築けぬ

 □自民党国際情報検討委員会・原田義昭委員長

 中国や韓国が、史料の裏付けがない「史実」を使って、日本の罪を作り出し、世界に非を鳴らしている。平成26年3月に設置された自民党国際情報検討委員会は、こうした対日宣伝活動の実態と影響を調査し、対抗する広報戦略を打ち出す。委員長の原田義昭衆院議員(福岡5区)は「国際世論に影響力の持つ米国を巻き込むべきだ」と語った。 

 わが国の名誉を毀損する動きが相次いでいます。

 今年10月、中国は南京事件に関する「南京大虐殺文書」の世界記憶遺産登録に成功しました。次は「慰安婦関連資料」の登録を目指し、6カ国・地域で連携して国連教育科学文化機関(ユネスコ)に申請を目指すようです。

 いわゆる「従軍慰安婦」問題や、尖閣諸島(沖縄県石垣市)、竹島(島根県隠岐の島町)の領有権問題、さらに南京事件の問題は、資料に基づけば日本側の主張が正しいことが分かる。

 日本人は争いごとを嫌い、正しいことを言えば、相手が理解してくれると思っていました。

 残念ですが、国際社会ではその理屈は通じません。日本の情報発信力は中国や韓国に比べ、ふた回り以上差がついている。そう言わざるを得ません。

 平成25年暮れ、米国務省は安倍晋三首相の靖国神社参拝に対して「失望した」との声明を出しました。

 その7年前に小泉純一郎首相が参拝したときは、当時ブッシュ政権は靖国参拝を容認しました。7年のうちに、反日を旨とする中国や韓国側の主張が、米国にいかに浸透したのか、恐ろしくなりました。

 そこで翌26年の春、衛藤征士郎衆院議員と「中韓のプロパガンダに対抗するには、組織的、戦略的に情報発信を行うべきだ」と一致し、検討委員会を設けるように動いたのです。

 米国内で行われている中韓両国の宣伝活動を中心に調査しています。ロビー活動や議員外交だけでなく、市民運動や、現地の教育機関との連携など幅広く調べ、宣伝活動の狙いを総合的に把握しようという委員会です。

 すでに成果は出ています。今年4月、米テキサス州の国立太平洋戦争博物館に、在米中国公館の関係者が「日本はさきの大戦で尖閣諸島を侵略した」「(国家成立前だが)共産軍が日本軍に宣戦布告した」と展示物を書き換えるように、圧力をかけた問題がありました。

 この情報をキャッチし、6月に委員会で関係者から聞き取りをした上で、外務省に実態調査を求めました。中山泰秀外務副大臣が8月に渡米し、博物館館長と、展示物の中立性を守ることで合意したのです。

 国際広報予算の増額も要求しています。内閣府は平成28年度予算案の概算要求で52・2億円を盛り込みました。27年度の18億円に比べ3倍近い。ちなみに民主党政権時代は3・5億円でした。

 ですが、予算があっても、外務省の役人に「国の名誉を守る」との気概がなければ、情報戦には勝てないんです。

 世界記憶遺産に登録された「南京大虐殺文書」はいまだ非公開ですが「南京虐殺で30万人が殺された」との中国側の主張が反映されているのは明らかでしょう。登録を許したこと自体、お粗末ですが、外務省は資料を精査しないと反論できないという。

 闘う気概がなければ、情報は取れないのです。

 国際社会への情報発信をみると、韓国の国際放送「アリランTV」や中国国営中央テレビ(CCTV)では、さまざまな言語で、自国の政治主張に沿った内容を世界に流しています。

 わが国で世界をカバーするメディアはNHKワールドTVだけです。そのNHKは、慰安婦問題について、強制性を主張する韓国の主張も報じます。中立といえば聞こえはよいが、日本の公共放送が「強制的に連れて来られた、かわいそうなおばあさん」と放送すれば、米国人に誤解されかねない。

 放送法4条は、「政治的に公平であること」を定めています。私たち政治家がNHKに口出しすると、おかしな話になります。

 では、どうするか。党として、海外の放送局に番組を設けるか、資金を募って自らメディアを米国に設立するか。そこまで対策を練らねばいけないのです。

 こうした歴史認識問題は、当事国同士で議論しても平行線に終わるだけです。国際世論に影響力を持つ米国を、「行司役」に巻き込むしたたかさが必要です。

 これまで、日本人は事なかれ主義で、中国や韓国との論争を避けてきました。ですが、日中、日韓の未来志向の関係を築くためには、とことん歴史認識の問題に立ち向かわなければならないのです。(奥原慎平)