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【ちば深読み】千葉生まれの茶筒、世界へ 実用性とデザイン高評価

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【ちば深読み】
千葉生まれの茶筒、世界へ 実用性とデザイン高評価

 茶筒が世界で注目されている。中でも江東堂高橋製作所(東京都葛飾区)が印西市内の工場で製造する茶筒は、実用的な作りとデザインの良さから欧米で好評を博し、23日に米ニューヨークで行われるテレビ番組の祭典「国際エミー賞」の授賞式で、1200人の出席者に配られる記念品に選ばれるという快挙を果たした。

 茶筒を含む、わが国の食料保存用の缶作りは、明治時代初期の軍用の食料缶詰に起源を持つ。缶詰業者が缶自体も製作していたが、大正時代に自動式缶製造機械が輸入されると、缶製造に特化した業者が全国に誕生。さまざまな種類の缶が作られるようになった。

 同社は大正11年創業の老舗メーカーだ。円筒形の茶筒が得意分野で、高橋昭紀社長(73)は4代目。東京都内などで製造を続けてきたが、平成19年、本社を都内に残したまま、製造拠点を印西市松崎台の松崎工業団地に移した。

 茶筒はブリキ(スズメッキ鋼板)を丸めるように筒状にして、底とふたを付けて作る。胴体にすっぽりかぶさる外蓋と中蓋で密閉性が高い。外装が金属のままの「生地缶」はモダンな美しさ、色鮮やかな和紙を張った「和染缶」は和の雰囲気があり、いずれも人気商品だ。

 だが、国内で茶筒を見ることは少なくなった。「茶はペットボトルで飲む」のが当たり前の現代。茶葉で茶をいれる習慣が薄れて茶筒の需要は限られている。

 こうした状況を乗り越えようと、同社は海外に目を向けた。欧米では茶葉の量り売りが現在も生活に根付いている。茶筒の中には緑茶はもちろん、紅茶も入れることができ、需要はある-という読みからだ。

 海外をターゲットにしても、高品質で実用的な茶筒を作り続けた。金属の接合を鉛ハンダから電気溶接に変更。別の会社の商品ではプラスチック製が多い中蓋も、金属製にこだわり続けるのは、食品の安全を考えてのことだ。こうしたこだわりは安全や環境問題に敏感な欧米市場への進出に役立った。

 2年前に出品した米シカゴの見本市でも高い評価を獲得。「KOTODO」ブランドは米国の大手生活用品チェーンの店頭に並ぶようになり、ヨーロッパでも売り上げを伸ばしているという。

 茶葉保存に最適な実用性、本体と外蓋の図柄がピタリとあう作りの良さが人気の秘密だが「優秀なニューヨークの代理店との出合いも大きかった」と同製作所の海外担当、渡辺紀子さん(43)は振り返る。

 渡辺さんは日本と欧米の違いに驚かされ続けた。「日本で人気がある大きな絵柄より、小さな連続模様が好まれることに気づいた。波模様の『青海波(せいがいは)』は特に人気が高い」と話す。

 また、「茶筒を立てて蓋を上に抜くのは日本人。欧米人は斜めに持ってひねって開ける。中が見えないと不安らしいことも初めて分かった」といい、「蓋に透明部分を加えたり、取っ手を持ちやすくしたりする工夫をしたい」。

 千葉生まれの茶筒は、日本の茶の間を飛び立ち、世界のリビングを飾っている。江東堂高橋製作所製品問い合わせは印西工場(電)0476・46・6300。 (江田隆一)