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【かながわ美の手帳】女子美染織コレクション展Part5

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【かながわ美の手帳】
女子美染織コレクション展Part5

 □KATAZOME

 ■日本独自の技の極致 型染めの変遷たどる

 型紙を使ってさまざまな模様を染める型染め。染色の一技法だが、その極小の模様は人間による技の極致ともされる。その型紙と型染め、手拭いや浴衣を量産するために考案された染色技術「注染(ちゅうせん)」による染色作品111点を集めた「女子美染織コレクション展Part5 KATAZOME」が14日、女子美大・女子美アートミュージアム(相模原市南区)で始まった。日本発祥の型紙による型染めの歴史の一端を見ることができる。

 ◆江戸時代に確立

 染色工芸家であり民芸運動家の芹沢●介(1895~1984年)は、江戸小紋や伊勢和紙など伝統工芸の技法をもとに植物、動物、人物などをモチーフに作品を生み出した。自由闊達(かったつ)な作風の芹沢は、女子美大に工芸科を設立したメンバーの一人で弟子の柚木沙弥郎(ゆのき・さみろう)(93)とともに、工芸科の指針をつくっていく。

 型染めの歴史は古く、同館学芸員の須藤良子(47)は「鎌倉時代の絵巻にも型染めが出てきますが、型紙を使った型染めは江戸時代に確立した」という。

 同大は、平成23年に旧カネボウ所蔵の染色作品約1万2000点を購入。以来、調査研究した作品を毎年展示してきた。今年で5回目を迎える今展には、小紋染めをはじめ琉球で発達した型染め「紅型(びんがた)」を展示し、色彩豊かな和洋の意匠や素朴な模様などの型染めの変遷を伝える。

 ◆生活道具も表現

 柚木の「りんね」(昭和48年)は、人に似た姿や、馬、鳥に似た架空の動物をシンプルかつユーモラスに彫った型紙を使って染めた作品だ。柚木はこのデザインを好んだらしく、複数の作品に同様の絵柄を見ることができる。須藤は「迫力に満ちた模様から自由な染めを表現する姿勢が貫かれている」と解説する。

 ルネサンス美術に影響を受けた小島悳次郎(とくじろう)(1912~95年)の「アヴェ・マリア4」(昭和60~平成2年)は、グレゴリオ聖歌にあるアヴェ・マリアの歌詞の一部を彫った作品。西洋美術やキリスト教の像を題材に独自の世界を展開する小島のオリジナルデザインだ。

 日本の伝統工芸である型染めのデザインには、生活の中で実際に使われてきたさまざまな道具が彫られてきた。デンデン太鼓に表現された巴(ともえ)模様は、勾玉(まがたま)や渦巻く水から図案化されたとされる。

 須藤は、「中国にも道教から発生した同じような模様があるが、日本の巴模様とは別」と話す。このほか竹模様型紙(19世紀)や、蝶模様型紙(同)など、江戸時代以降に型彫師が彫った型紙40枚を展示する。須藤は「染色の中でも型紙による型染めは、日本で独自に発達した文化。この型染め変遷をぜひ見にきていただきたい」と話している。 =敬称略

  (柏崎幸三)

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 「女子美染織コレクション展Part5 KATAZOME」は、女子美術大・女子美アートミュージアム(相模原市南区麻溝台1900)で、12月20日まで。午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)。火曜日休館。入場無料。問い合わせは、同ミュージアム((電)042・778・6801)。

●(=金へんに圭)