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「お茶は人と人つなぐ文化」 堺市街に町衆サロン

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「お茶は人と人つなぐ文化」 堺市街に町衆サロン

 茶人の千利休(1522~91年)を生んだ堺市堺区に、お茶を通じて人と人とを結びつけよう-をコンセプトにしたコミュニティーサロン「栄茶論」がオープンした。堺東の商業隣接地にありながら、エアポケットのように静かな空間。まちづくりやボランティアなど現代の「町衆」が集う活動拠点として利用されている。

 飴(あめ)の「手づくり工房堺あるへい堂」店主の岡田明寛さん(58)が、北区内から堺区南花田口町に工房を移転したのに合わせ、隣に5月に開設した。家主やボランティアの協力でアパートの一室を改装。10~15人程度の会議や趣味の会合に安価で貸し出している。

 岡田さんと市内の和菓子店主らがフェイスブックで参加者を募り、子育て世代や留学生向けに菓子作り体験会を開催しているほか、版画や介護予防、ヨガなど「小規模グループからの利用申し込みが多い」という。

 岡田さんは市内の有志と平成13年からまちづくり団体「堺なんや衆」で、堺の魅力発見やボランティアなどの活動に取り組んでおり、事務所と活動拠点を兼ねてサロンを設けた。

 開設にあたっては「茶の世界史 緑茶の文化と紅茶の社会」などの著書で、日本ではお茶が欧州のような「商品」ではなく「文化」として根付いたことを説いた故・角山栄さん(堺市博物館元館長、和歌山大元学長)の名前をもらった。

 堺市在住の角山さんは顧問として活動を応援し、「私が最初の講演をしよう」とサロン開設を楽しみにしていたが、団体がNPO法人になった昨年10月に92歳で亡くなった。角山さんの家族からは蔵書約250冊と写真を譲り受け、サロン内に「角山文庫」を設けた。

 岡田さんは「角山先生はお茶は人と人をつなぐ文化だと仰っていた。中世の堺には都会の中にやすらぎの空間をつくる『市中の山居』が町衆文化として広まった。同じ思いを持つ人たちが集い、お茶を飲みながら語り活動する拠点にしたい」と話している。