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【那須の作家たち】染織アーティスト、遠藤聖香さん 布から生まれるアートの魅力

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【那須の作家たち】
染織アーティスト、遠藤聖香さん 布から生まれるアートの魅力

 那須街道近くのアトリエショップにはさまざまな技法で染めた作品が並ぶ。スカーフやバッグ、アクセサリー…。アルミニウムを蒸着させた布を染めたという作品も。どれも個性的で、那須の自然を感じさせる優しい色合いが印象的だ。

 大学と専門学校で染めや織りの技術、繊維アートを学んだ。20代は海外で過ごし、アメリカやヨーロッパで布を使った舞台美術やホールの空間ディスプレーの仕事を手がけてきた。その中で「布から生まれるアートの可能性が広がった」といい、表現の一つとして染織の技に魅了されていった。

 アルミニウムの布を染めるなど現代アート的な技術を学ぶ一方、絞り染めや土染めなど伝統的な染織技法も習得。最先端と伝統的な技法を新素材に融合させて作る独自の世界を目指してきた。

 これまでには染め上げた布に写真を写し込んだり、アルミ素材の布の作品に映像を映すなど他分野の作家との共同制作も挑戦。「生活において布は身近だけど、いろんな可能性を秘め、そこにひかれる」と話す。

 那須に住んでからは自然をテーマにした作品にも取り組んでいる。材料は野菜や動物の糞(ふん)。ニンジン、トマト、ハーブなどの茎の部分を農家から譲り受け、乾燥した後に粉砕。溶かして布を染める。

 「野菜は黄色やグリーン、牛の糞はきれいなベージュに染まる。野菜は水分が多く、染めるのには手間がかかるが、何色になるか想像するのが楽しい」

 那須で創作活動を始めて8年。「ここは、テーマにしている自然が身近。時がゆっくりと流れていて気に入っている。水がきれいで作品づくりにもプラスになっている」といい、「地域の方とのつながりの中で生まれる染めを大切にし、進化させたい」と思いを語った。

 同じものを作らず、一人だけのための一点物を作り続ける。その色にはここでしか出せない“那須色”が加わった。(伊沢利幸)

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【プロフィル】遠藤聖香

 えんどう・きよか 神奈川県生まれ。大学時代から国内外の布による舞台や空間ディスプレーを幅広く手がけ、各地で個展活動やワークショップも。ヨーロッパに長期滞在後、平成19年、那須町に拠点を移し、染織アトリエショップ「Brillante(ブリランテ)」(同町高久乙)をオープン。染織スカーフやオリジナル布のバッグ、小物などを制作、販売している。39歳。