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【統一地方選】低投票率歯止めへ広がる「センキョ割」 神奈川

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【統一地方選】
低投票率歯止めへ広がる「センキョ割」 神奈川

 県議選や横浜・川崎市議選などで過去最低の投票率となった統一地方選前半戦。こうした低投票率に危機感を持った起業家、デザイナーらが県内の商店街などに呼びかけ、独自のアイデアで歯止めをかけようとしている。投票すると割引や特別サービスが受けられる「センキョ割」で、県内では4回目の実施。県外だけでなく海外にも取り組みは広がっており、「一票でお得」のムーブメントが注目を集めている。

 ■バレンタインのように…

 「センキョでトクする春がきます!」

 投票を呼びかけるキャッチコピーに、桜の花びらがあしらわれたピンク色のポスターが「センキョ割」参加店舗の目印だ。5月10日までの期間中、投票後に投票所担当者に求めれば発行してもらえる「投票証明書」か、投票所の看板と自分を一緒に写した写真を実施店舗で提示すると、10%引きや飲み物1杯プレゼントなど、さまざまなサービスが受けられる。

 対象は今回の統一地方選で、全国いずれの選挙で投票してもOKだ。

 4回目となる今回は、六角橋商店街(横浜市神奈川区)や弘明寺商店街(同市南区)など、計約140店舗が参加している。

 「センキョ割」を手がけるのは、有権者の投票行動分析などを手がけるベンチャー企業「ワカゾウ」(同市中区)の佐藤章太郎社長(42)だ。3年前、「真面目なアプローチだけでは投票率は上がらない」と考え、普段政治とは縁遠い芸術系の仕事をしている人々のアイデアを集めて「センキョ割」を始めた。

 「バレンタインやハロウィーンのような、選挙のときは『センキョ割』があるという楽しい文化にしたい」と意気込む佐藤さんの胸には、「『きちんと(候補者を)選ばなきゃ』という意識があると、投票行動へのハードルが高くなるが、最初からうまく政治家を選べる人なんていない」という思いがある。

 佐藤さん自身、政治に関わる仕事をしながら、「仕事で忙しく、深く考える時間が取れなかったことがある」といい、誰に投票するか迷ったり、投票行動を後悔した経験も持つ。

 だが、「もっと気軽に投票に行く文化に変えないと投票率は上がらない」とする佐藤さん。「1回目は『この人、格好いいな』という感じで(票を)入れたっていいんです。2回、3回と投票する中で、少しずつ政治家の見方や考え方が分かってくるのではないか」と話す。

 ◆地域活性化にも期待

 まだ利用者は少ないが、参加店舗は着実に増えてきており、今回は新たに東京・下北沢や表参道など、若者が集まる場所に立地する店舗も参加する予定だ。

 取り組みは、島根など国内だけでなく、ドイツ、ルーマニアなど、海を越えて広がり始めている。

 「センキョ割」に参加している弘明寺商店会の石川清貴会長(63)は「新しいお客さんが来たり、『選挙行ってきましたよ』と会話のきっかけになっている」と成果を実感。六角橋商店街の細井勇人さん(41)も「選挙のときは地元に帰る。『割引もあるし帰りは商店街に行こう』と足を向けてもらって、地域活性化につながれば」と期待を込める。

 県内では、「センキョ割」のほかにも、投票証明書を提示することでサービスを受けられる動きがある。商業施設「横浜ワールドポーターズ」(同市中区)は、「少しでも選挙に目を向けてもらうきっかけを作り地域に貢献したい」(担当者)と今回初めて独自に「選挙割」を実施。

 24日までに投票証明書を提示すると、施設内の計32店舗で割引などのサービスが受けられるほか、映画鑑賞券が当たるスピードくじに参加できる。

 箱根町の「箱根ホテル小涌園」と「箱根小涌園ユネッサン」でも、投票証明書の提示で宿泊や日帰り入浴の割引サービスが受けられるキャンペーンを6月30日まで開催中だ。

 すでに宿泊予約があったといい、両施設の担当者は「一票を投じることでかなりお得な割引を受けられるので、ぜひ活用してほしい」と話している。(統一地方選取材班)