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カフェで語ろう日本の歴史 横浜の飲食店オーナーがイベント

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カフェで語ろう日本の歴史 横浜の飲食店オーナーがイベント

 「カフェで日本の歴史を語ろう」-。横浜市の小さな飲食店のオーナーがそんな壮大なテーマを掲げたイベントを続けている。「むつかわバール トミーズカフェ」(南区六ツ川)の店主、山田ベンツさん(47)。戦後70年を迎えるにあたり、「歴史を知ることを通じて日本の長所、短所を今一度心に刻むことが大切」との思いからだ。(渡辺浩生)

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 ◆「祖国に問題提起を」

 「歴史を学ぶ意義は、その『物語』からなにがしかの『示唆』を得ることだ」。3月27日、目黒雅叙園(東京都目黒区)で、第3回「カフェで日本の歴史を語ろう」が開催され、評論家の西部邁氏が講演。約100人が集まり、拉致被害者、横田めぐみさん(50)=拉致当時(13)=の父、滋さん(82)と母、早紀江さん(79)も駆けつけた。

 父はスウェーデン人。「ベンツ」は父方の祖父の名前からとった。幼い頃「ガイジン」と周囲に呼ばれ、「普通の日本人よりも日本を意識していた」。母親の砂津恵さんから聞かされた明治生まれの祖父の口癖が、今もベンツさんの“支柱”となっている。

 鹿児島県の漁師町に育った船乗りで先の大戦では海軍の輸送艦の乗組員だった祖父のその教えとは、「家族、地域社会、そして国家に役立つ人間となりなさい」「先人を大切にしなさい」だった。

 19歳で「何の迷いもなく」日本国籍を選択。獨協大を卒業し、26歳でカフェ経営を始め、地元の客と接しながら、「横浜のはずれの小さな飲食店から、自分の祖国に何か問題提起ができないか」と自問自答してきた。

 やがて横浜選出の衆院議員で現官房長官の菅義偉氏を知る。拉致問題に取り組み、北朝鮮の貨客船・万景峰号入港禁止措置の議員立法成立を主導するなど、「国民の生命、財産、自由を守るのが仕事という考えを愚直に実行し続ける政治家姿勢」に感銘を受け、当時第1次安倍内閣の総務相だった菅氏に1通の企画書「カフェで政治を語ろう」を送付。

 「政治、宗教、プロ野球は飲食店ではご法度」と反対する知人もいたが、19~20世紀初頭の欧州ではパリなどでカフェが政治や文化の発信地となった。「日本でもインパクトはある」。

 菅氏との最初の「語ろう」は平成20年6月に実現。「ジャズを聴きながらワインを片手に」というスタイルも受けて約100人が参加、立ち見客もいたほど盛況となった。菅氏も「若者が自発的にこのような会を企画すること自体が新鮮」と感心したといい、その後も4回出演した。

 ◆「懐古趣味ではない」

 一方で、「自らの過去を否定することに専心してきた戦後」への疑問を捨てきれずにいたベンツさんは戦後70年を迎えるのを機に、「自らの歴史と先人たちの教えに向き合うことは懐古趣味ではない。自分自身と日本との一体感を醸成することができるはずだ」と思い至った。

 「語ろう」のテーマは政治から日本の歴史へ、会場も横浜の店から目黒雅叙園に移し、昨年7月、京都大名誉教授の中西輝政氏を講師に第1回を開催。昨年11月の第2回は京都大教授の佐伯啓思氏を招いた。今年6月4日の第4回は、文芸評論家の小川榮太郎氏を招く予定だ。

 「保守でなくても、『今までの日本っておかしいよね』と感じてきた人たちが目を開くとっかかりになれば」とベンツさんは話す。

 問い合わせは、「トミーズカフェ」(電)045・731・3672。