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福島・宮城・岩手で海岸防災林の復旧加速 抵抗性クロマツ供給体制確立

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福島・宮城・岩手で海岸防災林の復旧加速 抵抗性クロマツ供給体制確立

 東日本大震災で壊滅的な被害を受けた被災3県の海岸防災林の復旧が、平成29年度から加速する見込みとなった。1千ヘクタールの海岸防災林が壊滅した宮城県で、抵抗性クロマツの苗木の供給体制が2年後には整うためだ。松くい虫に強い樹種の安定供給で、復旧を後押しする。

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 抵抗性クロマツは、宮城県林業技術総合センターが東北で初めて開発。23年2月に初めて種子の出荷にこぎつけ、本格的な苗木生産が始まろうとした矢先に震災が起きた。

 海岸防災林には、潮に強いクロマツが欠かせない。広葉樹などを交ぜた海岸防災林を整備しようとしても、クロマツで潮を防がないと、他の樹種が育たないからだ。

 しかし、クロマツは松くい虫(マツノザイセンチュウ)に弱く、内部に寄生されると枯れてしまう。海岸防災林の復旧には、抵抗性クロマツの苗木増産が急務だった。

 このため、独立行政法人の森林総合研究所林木育種センター東北育種場(岩手県滝沢市)が、宮城県林業技術総合センターや、青森県産業技術センター林業研究所と、増産体制づくりを進めてきた。

 宮城県大衡村の県林業技術センターにある抵抗性クロマツ採種園で、青森県の林業研究所が種子の採取量を7・5倍に増やす植物ホルモンの一種「ベンジルアミノプリン」を投与。ほかに、抵抗性クロマツの枝からさし木で苗を作る手法が確立され、クローン苗の研究も進められている。

 宮城県によると、抵抗性クロマツの苗木の供給本数は24年度に1万2千本だったが、25年度は8万3千本に急増。26年度は29万3千本にもなり、27年度は32万7千本、28年度は38万5千本で、29年度以降は80万本以上になる見通しとなった。海岸防災林の復旧は32年度までの10カ年がめど。29年度以降の80万本以上の供給体制が確立されることで、必要な500万本をほぼ確保できることになった。

 東北育種場の織部雄一朗育種課長は「関係者の努力で、一番の課題だった抵抗性クロマツの苗の供給体制の確立にめどが立った。これで被災地の海岸防災林の復旧に弾みがつくと期待している」と話している。