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和歌山・串本町、津波避難タワーの上に「浮上式シェルター」新設

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和歌山・串本町、津波避難タワーの上に「浮上式シェルター」新設

 南海トラフ巨大地震(マグニチュード9・1)が発生した場合、津波から逃げ切れない「津波避難困難地域」に指定された串本町田並地区で、津波避難タワーの上に新たに「浮上式シェルター」が設置された。タワーと違って雨や寒さがしのげ、食料備蓄もできるため、住民からは「万一のときにとても心強い」と期待されている。タワーの上にシェルターを設置するのは全国的にも珍しく、新たな防災対策として注目を集めそうだ。

 町は、平成17年に県が出した津波被害想定に基づいて、19年度にかけて町内4カ所に避難タワーを設置した。しかし、東日本大震災を機に、県は新たに南海トラフ巨大地震による被害想定を公表。同町では最大17メートルの津波が襲来し、4カ所のタワーのうち、田並地区の避難タワーの最上階部分(海抜約5・7メートル)は35~53センチ浸水する可能性が出てきた。

 町は、より高い避難タワー建設も検討したが、費用や敷地の確保が難しいことから断念。同地区では、浸水の恐れが出てきたタワーではなく、高台避難を原則とした。シェルターは、高台へ行くのが困難な高齢者らの利用を想定している。

 シェルターは、静岡県磐田市で競技用自動車などを製造しているタジマモーターコーポレーションが開発。強化プラスチック製で長さ6・2メートル、幅と高さ2・3メートル、重さ1・3トンで、水に浮かぶ構造となっている。定員は20人だが、最大30人まで利用でき、太陽光発電で照明なども使える。事業費は設置費用を含めて約580万円。

 シェルターによって雨や寒さがしのげるだけでなく、食料が備蓄できる。また、普段から地区の住民が集会などで利用することで、災害時に集まりやすい場所にしていきたいとしている。

 田並地区は、昨年10月に県が策定した「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」で、南海トラフ巨大地震だけでなく、東海・東南海・南海3連動地震(同8・7)の規模でも、避難が難しいとされる津波避難困難地域に指定された。

 田嶋勝正町長は「この10年で避難路の整備などを行ってきたが、高齢者ら避難困難者に対しては、近くにあるシェルターは非常に有効」と説明。田並地区自主防災会の事務局長、山本庄一さん(68)は「津波対策は一つ一つしていかなければいけないが、新しい想定に対応するシェルターが設置されて心強い」と話した。