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次世代にも日本酒飲み継いで 地酒扱う先駆け大阪「酒楽座 山三」開店40年

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次世代にも日本酒飲み継いで 地酒扱う先駆け大阪「酒楽座 山三」開店40年

 古くから各地の地酒をそろえていることで人気の居酒屋「酒楽座 山三」(大阪市中央区難波)が今月20日、開店40年を迎える。「きき酒師」の資格を持つ店主の山瀬真樹さん(63)が、まだ地酒を扱う飲食店が珍しかったころから日本酒のうまさを広く知ってもらおうと努力を重ねた店で、山瀬さんは「日本酒は幅広い料理に合い、コメの文化である日本の食生活に一番相性がいい。その良さを知ってもらい、次の世代にも飲み継いでほしい」と話している。

 山瀬さんは高校卒業後、昭和49年に開店。当初日本酒は大手メーカーの1種類のみだった。

 しかし、5年ほどして「天野酒」(河内長野市)の大吟醸酒に出会った。当時の日本酒は特級、一級、二級といった等級制で、大吟醸はマイナーな存在。しかし「香りやコクがあり余韻もよくて衝撃を受け、お客さんにも広めたいとの思いが強くなっていった」と振り返る。

 各地の蔵を見学し、蔵元関係者から酒の本質を学んだ。現在全国で約2万8千人が認定を受けている「きき酒師」の資格も、まだ認定者の少なかった平成5年に取得。7年には、きき酒選手権の全国大会に府代表として出場して準優勝を果たすなど、日本酒のエキスパートとしての力を付けていった。

 一方で、当時の客は銘柄指定の習慣は少なく、各地から取り寄せた銘酒の味を知ってもらおうと試飲サービスを続けるなど、時間をかけて地酒を根付かせていった。

 その間に日本酒の級別が廃止されるなど、取り巻く環境も変化。淡麗辛口や吟醸酒などのブームも生まれたが、「流行を追いかけるより、自分が『いいな』と思ったお酒を扱うようにしました」と話す。

 常連という摂津市の運送業、安部猪三夫さん(50)は「安酒ばかり飲んでいたころ、会社の先輩に『本物の日本酒を教えてやる』と連れてきてもらいました。いつ来ても楽しく、気持ちよく酔える」と語る。

 山三を紹介した「大阪 下町酒場列伝」の著者でフリーライター、井上理津子さん(58)は「各地の地酒を置く店は珍しくなくなったけれど、先駆け的なお店。日本酒のプロなのに偉ぶらない山瀬さんの人柄もいいし、客と店との間に節度ある距離感がある。女性ひとりでも入れる雰囲気だし、これからも時流に流されず頑張ってほしい」と話している。