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ハンググライダー国際大会 日本人女性で初の栄冠 和歌山

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ハンググライダー国際大会 日本人女性で初の栄冠 和歌山

 ハンググライダーやパラグライダーでは国内有数のフライトスポット、紀の川市竹房の「紀の川フライトパーク」。春から秋にかけて、全国から大勢の人が訪れ大空を優雅に飛行する。この場所から今夏、日本女子のハンググライダーとしては初の国際大会優勝を果たした女性が誕生した。そして今、日本人女性として初めて男女混合の世界選手権出場という目標に向けて、飛躍を目指す。 (土屋宏剛)

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 優勝したのは、紀の川市古和田のハンググライダーパイロット、礒本容子さん(41)。今年6月21日から7月5日にフランス、アヌシーで開催された「13th FAI ハンググライディング女子世界選手権」で、約10カ国、21人の強豪を抑えて頂点に立った。

 競技は計6レース、それぞれ約50~100キロのコースで空中に設定された地点をどれだけ早く通過し、ゴールするかをポイント化し合計点数を競った。

 第1レースで礒本さんは他の選手が2時間半ほどかかったところを約2時間でゴールし、2レース目から1位。それ以降もトップを守り、2位のフランスの選手を僅差で振り切った。「空の上ではとにかく無我夢中。今までの努力が実を結んだ気がして本当にうれしかった」と喜びを語った。

 礒本さんが大空へ引きつけられたのは20歳のころ。滋賀県に旅行で訪れた際、山の上を飛んでいるパラグライダーを見て「自由に空を飛んでいる姿にあこがれた」。さっそくパラグライダーのスクールに申し込んで、鳥取砂丘(鳥取市)の初心者講習に参加した。

 そこには、パラグライダーよりさっそうと飛ぶハンググライダーの姿が。思い切ってインストラクターに乗せてもらうと、たちまちとりこになった。「パラグライダーより自由で、鳥になった気分だったんです」

 出産と育児で一時遠ざかったが、33歳で復帰。「飛びたいときに飛べる場所に」と、大阪府枚方市から紀の川フライトパークのある紀の川市に引っ越した。

 練習は年間150日近くにのぼり、1日あたり長いときで7~8時間を空の上で過ごす。「飛べる日は毎日でも飛びたい」と、周囲のフライヤーが降りた後も、空に1人残る。「上昇気流の場所を常にイメージして飛んでいます」と話す。

 練習での最長フライトは、紀の川市から和歌山市を経由して奈良県五條市をまわって戻ってくる約70~100キロ。エンジンもないなか、風だけが頼りだ。「空の上はいつも違う景色が見える。ずっと飛んでいても飽きないんです」

 礒本さんの次の目標は、男女混合の世界選手権に出場することだ。日本から6人選抜されるが、女性で選ばれた選手はまだいない。視線は再び「世界」に向いている。

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【用語解説】ハンググライダーとパラグライダー

 ハンググライダーは、三角形の金属製の骨組みのグライダーにうつぶせに乗り、自身の体重移動で操縦する。パラシュートとグライダーから名付けられたというパラグライダーは、パラシュートと同じ素材の四角い布で上昇気流をとらえ、座った姿勢で紐を引いて操縦する。フライトスポットの「紀の川フライトパーク」は上昇気流が出やすく、麓を流れる紀ノ川河川敷に着陸できるため、飛行にはうってつけの環境となっている。