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福山出身・藤井厚二が一部設計 名建築の山荘、現代に 広島

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福山出身・藤井厚二が一部設計 名建築の山荘、現代に 広島

 福山市出身の建築家で、環境工学の先駆者として評価が高まっている藤井厚二(明治21~昭和13年)がサンルームを設計した建物が再生され、18日、福山市鞆町の現地で関係者に披露された。もともとは藤井の実兄が建てた別荘。「後山山荘」と名づけられ、9月14日から、月1回のペースで一般公開される。

 藤井は、大正2年に東大建築学科を卒業し竹中工務店に入社。同8年まで在籍し、大阪朝日新聞社などの設計を手がけた。退職後は欧米をめぐって環境工学への関心を高めたとされ、帰国後は、日本の気候や風土に適した住宅を追求。京都府大山崎町に広大な土地を購入し、その一角に自宅を建てて2年ほど暮らしてみては、人に譲って新たな一角に自宅を建てることを繰り返した。

 実際に居住することで快適な住宅の在り方を追求したためで、昭和3年に完成した木造平屋建てで「聴竹居」と名づけられた“4回目の自宅”は現存し、近代住宅建築の名作と評価されている。

 再生された後山山荘は、藤井の兄、与一右衛門が大正末期か昭和初期に建て、戦後まで使っていたとされる。

 設計者は不明だが、増築されたサンルームの部分は藤井の設計と判明している。母屋の構造や細部にも藤井の設計技法と共通するところがあるが、老朽化が激しいため確認できなかったという。

 長年放置されて廃墟のようになっていたが、福山市出身で東京都に住む現在の所有者が平成21年、別荘として使おうと、福山木之庄町の建築家、前田圭介さん(39)に再生を依頼。文化財的な価値がある建物なので、多くの人に見てもらうべきと、一般公開も視野に入れて再生工事を進めていた。

 よみがえった建物は木造平屋建て約140平方メートル。柱や土壁、建具など、なるべく多くを再利用したとしている。鞆の浦を一望するサンルームのガラスも、昭和初期のものが再利用された。

 管理、運営のために「後山山荘倶楽部」を立ち上げ毎月第2日曜日の午前10時~午後3時に一般公開。入場料は千円(学生500円、小学3年生以下は入場不可)。事前申し込みが必要で、近く開設される同倶楽部ホームページで受け付ける。