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池田小菊の未発表小説“発掘” 志賀直哉に師事した作家 奈良

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池田小菊の未発表小説“発掘” 志賀直哉に師事した作家 奈良

 文豪・志賀直哉に師事した奈良の女性作家、池田小菊(1892~1967年)が執筆した未発表小説「ナハロフカ(無能者)」の草稿を奈良女子大の講師が“発掘”し、奈良市の市民団体「白樺(しらかば)サロンの会」の会誌「りずむ」に掲載した。満州事変直前の貧民街を舞台に、混沌(こんとん)とした時勢を生きる人々の悲哀が描かれている。

 和歌山県出身の池田は大正10年、奈良女子高等師範学校付属小学校の教諭をしながら、奈良に住んでいた志賀に師事。志賀との交流を描いた私小説「奈良」は第8回芥川賞候補作となった。

 奈良女子大の吉川仁子講師(日本近代文学)によると、ナハロフカは満州国ハルビン市にあった貧民街。池田が満州事変直前に旅行した体験を素材に、昭和7年に執筆した。

 作品ではこの街を舞台に、ロシア難民の踊り子と革命運動家のロシア人を父に持つ日本人バイオリニストを中心人物とし、故郷喪失者(デラシネ)として孤独を抱えながら生きる姿を描いている。

 大阪府内の古書店で平成17年、同名作品の200字詰め原稿用紙188枚分の草稿を入手。志賀の功績を顕彰する同会の会誌で発表した。吉川講師は「晩年、不遇の作家として世間に知られなかった池田の未発表作品を知ってもらいたい」と話している。

 会誌は800円(税抜き)で販売。問い合わせは白樺サロンの会事務局(電)078・453・5545。