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【産経抄】「速さ」より「強さ」でつかんだ金メダル 2月23日

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【産経抄】
「速さ」より「強さ」でつかんだ金メダル 2月23日

 直木賞作家、三浦しをんさんの青春小説『風が強く吹いている』は、箱根駅伝が舞台となる。個性豊かな10人のメンバーが、シード権目指して襷(たすき)をつないでいく。長距離走者にとって一番大切なのは、「速さ」か「強さ」か。

 ▼主人公の一人、天才ランナーの走(かける)は何度も自問する。「強さとはもしかしたら、微妙なバランスのうえに成り立つ、とてもうつくしいものなのかもしれない」「走りとは力だ。スピードでなく、一人のままだれかとつながれる強さだ」。

 ▼平昌冬季五輪のスピードスケート女子団体追い抜きで、金メダルに輝いた日本チームの滑りは、「美しい」の一言に尽きる。3選手が一糸乱れぬ隊列を組むのは、空気抵抗を極限まで小さくするためだ。

 ▼リオデジャネイロ五輪陸上男子400メートルリレーの日本チームを思い出した人も少なくないだろう。華麗なバトンパスが、銀メダル獲得の決め手となった。「個」の力量で劣っていても、緻密な連係プレーによってチームとして挽回する。日本のお家芸といえる。

 ▼もっともそれだけで頂点に立てるほど、五輪は甘いものではあるまい。年間300日以上の合宿や遠征で、各選手は滑りを「速さ」から「強さ」へと昇華していった。その総和が、ライバルチームを圧倒した結果だと思いたい。

 ▼カーリング女子は、1次リーグで4敗しながらも、日本勢初の4強入りを果たした。戦略を練りながら、果物をほおばる「おやつタイム」が話題になった。「そだねー」。試合中でも小型マイクを通して、選手の北国なまりの会話が聞こえてくる。緊迫した場面でも笑顔でコミュニケーションがとれるのが、チームの魅力である。準決勝の韓国戦では、そこから生まれる「強さ」が見たい。

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