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【平昌五輪・祭典のまちから】「統一旗」と南北分断の現実 

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【平昌五輪・祭典のまちから】
「統一旗」と南北分断の現実 

展示されている北朝鮮の潜水艦=江陵(原川真太郎撮影) 展示されている北朝鮮の潜水艦=江陵(原川真太郎撮影)

 大会も終盤にさしかかった20日、競技取材の合間を利用して、“観光名所”に足を運んでみた。江陵(カンヌン)市街地から車で20分ほど走った海沿いにある「江陵統一公園」。1996年9月、江陵沖合で座礁した北朝鮮の潜水艦が展示されている。

 3千ウォン(約300円)の入場料を払い園内へ。長さ35メートル、幅3・5メートル、重さ325トンという潜水艦の前に立てられた説明板に、「事件」の概要が記されていた。

 それによると、計25人の武装工作員を乗せた潜水艦が高波で座礁し、上陸した工作員らは韓国側と49日間にわたり交戦。1人が捕虜となり13人が射殺され、11人は近くの山中で集団自決した。韓国側も11人が死亡、22人が負傷し、民間人も6人犠牲になった。

 実際には、潜水艦に乗っていた工作員は26人で、1人は今も行方不明のはず。だが、説明板の日本語表記では触れられていなかった。

 1950年に始まった朝鮮戦争は53年に休戦したが、現在も終戦しておらず厳密には今も「戦時中」。五輪会場の平昌(ピョンチャン)と江陵を含む江原道(カンウォンド)は北朝鮮に隣接しており、軍事境界線を挟んだ北朝鮮側にも同名の行政区画がある。江原道自体が、南北に分断されているのだ。

 同じ民族が殺し合う戦争が続いている国の象徴的な土地で、当事者が統一旗を掲げて「平和の祭典」を行っている。潮風を受けて赤茶けた潜水艦を見ながら、やりきれない現実を再確認した。(原川真太郎)

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