【杉田水脈のなでしこリポート(18)】黄熊(ぷう)、詩羽楊(じばにゃん)、光宙(ぴかちゅう)…キラキラネームは15歳で改めた方がよいのでは?
杉田水脈さん
親学の話
日本で初めて「親学」の条例化を目指す和歌山市議会の視察を9月に行いました。
親になるためにこれだけは学んで欲しいこと、それを伝えるのが親学です。親学(提唱者は明星大学教授の高橋史朗先生)という言葉には、「親としての学び」と「親になるための学び」の二つの意味が含まれています。実際に子育て支援の現場にいたとき、子供の教育以前に親に問題があることが多く、こういった学びの必要性を強く感じていました。
過去に大阪市において大阪維新の会が、「家庭教育支援条例」案を提出した際に高橋先生の助言を受けて条文を検討、条例化を試みましたが、この条例案に対し、医師や発達障害児の保護者から、内容が「学術的根拠がない」「偏見を増幅するとの批判を受けました。維新の会代表である橋下徹大阪市長(当時)も、批判に同調しつつ条例案に否定的なコメントを述べたため、維新の会大阪市議団はいったん謝罪、その後、この条例案を撤回したことがありました。
和歌山市はそう言ったことも踏まえ、慎重に条例化を目指してきました。中心となった戸田正人市議からいろいろ説明を受けましたが、子育てを取り巻く環境は悪化の一途だと感じました。
例えば、赤ちゃんが寝る時間の国際比較では日本の乳幼児の夜更かしは世界でも突出しています。子供の成長を考え、子供中心の生活を考える親が減り、親の生活パターンに子供が合わせるという家庭が増えているのです。それがよくわかるデータもありました。「子どもを持てば、親は子の犠牲になるのもやむなし」と思う親の割合です。私自身、日本はかなり上位だと思っていたのですが、結果は逆。世界の親の平均は72.6%なのですが、日本の親は38.5%で73か国中72位となっています。「子供ができても犠牲になるのは嫌。ライフスタイルも変えたくない」という大人になり切れない現代っ子の子育てが見えてきます。
こういった親に育てられた子供が結婚や子育てに魅力を感じなくなるのは自然なことでしょう。このままいくと少子化にますます拍車がかかります。
子供の教育の責任は学校や教師ではなく親にあります。親としての自覚を持つこと、親自身が変わり成長していくことを促す親学。手遅れになる前に、「子育て=親育ち」という昔ながらの自然な概念に立ち戻らなければいけません。和歌山市からこの条例化の取り組みが全国に広がることを期待します。
キラキラネームと日本の幼名
また、戸田議員は、この親学が早急に必要であると思われる一つの理由にどんどん深刻化する「キラキラネーム問題」を上げられました。子供に「悪魔」という名前を付けたい親が裁判を起こしたのが20年余り前。今や「悪魔」という名前がかわいらしく見えてしまうほど、奇妙な名前の子どもが多く存在します。
・黄熊(ぷう)
・騎士(ないと)
・詩羽楊(じばにゃん)
・光宙(ぴかちゅう)
・瑛磨(えーす)
・龍飛伊(るふぃ)
・月姫(らめ)
・音音(のんのん)
・碧(あくあまりん)
・闘女(きゅあ)
・良妃(らびん)
・愛舞(いぶ)
信じがたいですが、どれも実在する名前です。普通の感覚を持つ大人はこの子たちの未来を心配してしまうのではないかと思います。最近はキラキラネームを持つ子供が大きくなり、その苦悩が話題になっています。
「恥ずかしいので、友達には平凡な普通の名前で呼んでもらうようにしている」
「名前を変えたいと言ったら親に、『お腹にいるときから二人で一生懸命考えた名前に対して何を言うか!』と怒られた」
こういう子供たちのために法的に改名の仕方を説くサイトも登場しました。本人の改名申請は15歳から可能だそうです。ただし、そのハードルは決して低くありません。改名の申請は家庭裁判所に行わねばならない上に、改名には「正当な事由」というものが必要でその事由が家庭裁判所で認められなければいけないのです。「嫌だから・恥ずかしいから」という理由では「正当な事由」にはならないのです。
そのサイトによると、改名の「正当な事由」として認められた実例には以下のようなものがあるそうです。
・難解や難読な名前
・いじめや差別を助長するような名前
・親族や近隣に同姓同名がいて生活上支障をきたす混乱が生じる場合
・同姓同名の犯罪者または被疑者がおり風評被害をこうむっている場合
・性別の変更により本人の外見と性別と名前が食い違い不便な場合
・長年の「通称」を本名にしたい場合
・出生届時に誤りがあった場合
これまた、先日、西郷隆盛翁の曾孫の西郷隆夫さんのお話を聞く機会がありました。その中で、西郷隆盛翁の名前の話になりました。当時の日本人は子供に故意に卑小な名前を付けたそうです。その方が厄除けになると思われていました。そして、15歳で元服した時にちゃんとした名前に改名したそうです。西郷隆盛翁も幼少の頃は「小吉」という名前でしたが、元服を機に「吉之介」へと改名しています。
この伝統を現代日本に復活させ、キラキラネームも15歳になるとちゃんとした名前に改めることができるとした方がいいのではないかと思うのは、私の老婆心でしょうか。
■杉田水脈(すぎた・みお) 昭和42年4月生まれ。鳥取大農学部林学科卒。西宮市職員などを経て、平成24年に日本維新の会公認で衆院選に出馬し、初当選。平成26年に落選後は、民間国際NGOの一員として国際社会での日本の汚名をそそぐために活動を続けている。好きな言葉は「過去と人は変えられない。自分と未来は変えられる」。
