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【昭和天皇の87年】大帝崩御 偉大な祖父の尊顔を、皇子はまぶたに焼きつけた

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【昭和天皇の87年】
大帝崩御 偉大な祖父の尊顔を、皇子はまぶたに焼きつけた

画=豊嶋哲志 画=豊嶋哲志

 足立によれば、大抵の人は明治天皇の前に立つと萎縮し、何も話せなくなるが、「迪宮(みちのみや=裕仁親王)さまだけは平気で、『おじじさまこれを拝見』と、置いてある置物などを御拝見になった」という。

 見舞いのときに裕仁親王は、これが祖父、明治天皇との最後の対面になるかも知れないことを悟り、面会時間の短さを嘆いたのだ。

 同年7月29日、《午後十時四十三分、天皇崩御す。急報により、午後十一時十二分(裕仁親王は)雍仁親王・宣仁親王と共に御出門、御参内になり、御尊骸に御拝礼になる。皇后(昭憲皇太后)より御尊顔を御記憶になるべき旨のお言葉あり》

 敬愛する祖父であり、偉大な天皇であった最期の顔は、裕仁親王の小さな胸に、どう刻まれたことだろう。

 悲しみの谷底は、まだ先にもあった。

 学習院長の乃木希典(まれすけ)が、明治天皇のあとを追って殉死したのである--。(社会部編集委員 川瀬弘至 毎週土曜、日曜掲載)

【参考・引用文献】

○宮内省編『明治天皇紀 第12』(吉川弘文館)

○秩父宮雍仁親王著『皇族に生まれて-秩父宮随筆集』(渡辺出版)

○栗原広太著『人間明治天皇』(駿河台書房)

○鈴木(旧姓足立)孝著「天皇・運命の誕生」(文芸春秋編『昭和天皇の時代』所収)

○宮内庁編『昭和天皇実録』3巻

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