産経ニュース

【阿比留瑠比の極言御免】「正直、公正」か「責任、実行」か

ニュース プレミアム

記事詳細

更新

【阿比留瑠比の極言御免】
「正直、公正」か「責任、実行」か

福井市で開かれた自民党福井県連の会合で講演する安倍首相(左)と、国会内で公約発表の記者会見をする石破元幹事長=27日 福井市で開かれた自民党福井県連の会合で講演する安倍首相(左)と、国会内で公約発表の記者会見をする石破元幹事長=27日

 当時、石破氏が就任打診を断った理由は、安倍首相との安保政策に関する考え方の相違だった。首相は集団的自衛権の制限行使論を唱えていたが、石破氏は全面的行使が可能だと主張していた。

 「だったら、石破さんは自分が首相になってから全面行使のための法整備をやればいいじゃないか」

 安倍首相は周囲にこう話していた。控えめな限定行使論でも大きな反発が予想できるのに、いきなり全面行使をいっても現実的ではないとみていた。結局、石破氏はこの時は地方創生担当相を受諾して入閣したが、28年8月の内閣改造時には閣内残留を峻拒(しゅんきょ)した。

 その際、周囲からは「閣内にとどまらず無役になれば、権限もなくなり、政治家としてやりたいこともできなくなる」との忠告も受けたが、石破氏自身はこう自嘲してみせた。

 「私みたいな馬鹿が、1人ぐらいいたっていいじゃないか…」

 これ以上、考え方の異なる安倍首相の下では働きたくないという意志を貫いたのは確かに自分自身に対して「正直」で「公正」だったとはいえる。

 それと同時に、安倍首相の政治手法とは対照的でもある。首相は17年の小泉純一郎首相による郵政選挙の際、郵政民営化関連法案に反対票を投じて「刺客」を送られた保守派の同志議員らについて、こううめくように話していた。

 「彼らは間違っている。自分のやりたいことを実現しようと思うなら、権力の近くにいなければならない。郵政民営化なんて本来、われわれが目指していることに比べたら、どうでもいいことではないか」

 安倍首相は、憲法改正をはじめ大きな目標を「責任」を持って「実行」していくためには、小異は捨てる覚悟だった。2人が選んだスローガンに、それぞれの個性が浮かび上がる。

(論説委員兼政治部編集委員)

「ニュース」のランキング