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【矢板明夫の中国点描】マハティール氏を見習いたい 有利なタイミングで最大利益の老獪外交

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【矢板明夫の中国点描】
マハティール氏を見習いたい 有利なタイミングで最大利益の老獪外交

20日、北京の人民大会堂で硬い表情を浮かべる中国の李克強首相(右)とマレーシアのマハティール首相(ロイター) 20日、北京の人民大会堂で硬い表情を浮かべる中国の李克強首相(右)とマレーシアのマハティール首相(ロイター)

 今春から本格化した米中貿易摩擦は、すでに中国の経済に大きな打撃を与えている。国際社会での孤立を避けるため、中国はこれまでの周辺国に対する高圧的な態度を改め、次々と関係修復に乗り出している。

 この夏、中国がもっとも力を入れていたのが、日本との関係改善だ。官製メディアに掲載される歴史問題などで日本を批判する記事が激減。上海師範大学で8月上旬に予定されていた慰安婦に関する国際シンポジウムが急遽(きゅうきょ)、中止になったことは象徴的な出来事である。開催直前になって、中国外務省から「日本を刺激してはならない」とのお達しがあったからだ。

 また、中国の漁業当局は8月初め、福建、浙江省の漁民に対し、「釣魚島(尖閣諸島の中国側呼称)周辺になるべく近づくな」との通達を出していたことが複数の関係者の証言で明らかになった。中国当局は昨年まで、自国の漁師らに対し、尖閣周辺を航行することを推奨し、燃料補助の名目で奨励金まで出していた。

 共産党関係者は「今後、中国製品の米国への輸出が難しくなるため、日本のマーケットを確保しなければならない。あわよくば、中国と同じく、米トランプ政権との貿易摩擦を抱える日本と共闘関係にもっていきたい」と語る。

 安倍晋三首相の年内の訪中が検討されている。中国側はすでに準備を始めており、日中友好ムードを大々的に演出する意向との情報もある。マハティール氏の老獪(ろうかい)な外交手腕を見習い、中国のペースに乗せられることなく、スパイ容疑で拘束されている日本人の釈放など日本側の要求を厳然と伝えてもらいたい。(外信部次長)

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