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【赤字のお仕事】「割愛」するには「愛」を「割く」ような気持ちが必要です

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【赤字のお仕事】
「割愛」するには「愛」を「割く」ような気持ちが必要です

 文化庁国語課が行った平成23年度の『国語に関する世論調査』では、「説明は割愛した」という例文で、「割愛」の意味を尋ねています。

 それによると、本来の意味である「惜しいと思うものを手放す」と答えた人は17.6%、「不必要なものを切り捨てる」という人は65.1%でした(年代別に見ると、20代が一番、本来の意味を答えた人とそうでない人の差が開いています)。

 では、なぜ、「惜しいと思う」という部分が無くなって、単に「省略する」という意味で使われることが多くなったのでしょう。

 「割愛」が使われる場合、会議での「詳しい説明は、時間の関係上割愛します」の発言のように、「割愛」の部分以外では発言者(筆者)の気持ちがくみ取れるような表現がないことがほとんどです。

 「先日行ったヨーロッパ旅行。当初は、イギリスから大陸に渡って複数の国を回るつもりだったが、帰国の予定が早まり、チェコへ行く旅程の部分は割愛した」

 といった文章があったとして、この場合の「チェコへ行く旅程の部分は割愛した」の部分には、筆者の「できれば行きたかった」という気持ちがあるはずです。ただ、読み手が「割愛」本来の意味を知らなければ、単にスケジュール上の変更としてしか受け取ってもらえないでしょう。

 これが、「先日ようやく念願かなって行ったヨーロッパ旅行。…帰国の予定が仕事の都合で早まり、残念ながらチェコへ行く旅程は割愛した」と作者の気持ちが他の文脈から浮き出ていれば、「惜しいけれど」という気持ちが受け取りやすくなるかも。

 割愛の本来の意味を伝えるためには、他の文脈から類推できるだけの情報が必要なのでしょうか。

 会議のため、事前に一生懸命資料作りをしていざ発表の席上、上司が自慢話を長々として時間がなくなり、せっかくの資料も全て紹介できそうもないとき…。

 こういう時の「時間の関係上割愛します」の「割愛」には、惜しいけれど…の気持ちがいっぱい詰まっているはずですよね。(時)

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