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芥川賞作家・朝吹真理子さん 7年の沈黙を破って世に問う「永遠」

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芥川賞作家・朝吹真理子さん 7年の沈黙を破って世に問う「永遠」

「話し言葉だけではうまく説明できない、小説という運動の中だけで可能になるものがある」と話す朝吹真理子(三尾郁恵撮影) 「話し言葉だけではうまく説明できない、小説という運動の中だけで可能になるものがある」と話す朝吹真理子(三尾郁恵撮影)

過去にならない時間

 「対談でご一緒した(歴史学者の)磯田道史(みちふみ)さんが六本木を走る帰りのタクシーの中で、『このあたりは江姫が火葬された場所なんです』と教えてくださって」と言う。

 「そのとき400年前の麻布が原が(江姫の火葬のときの)紫色の雲とともに現在に流れ込むビジョンが見えたんです。時間は過去から未来へリニア(直線的)に流れるものだと思われがちだけれど、過去にならないまま現在へと流れ込み偏在する時間が実はたくさんある。それを普段の生活では遮断しているだけだと感じる」

 超越するのは「時」だけではない。17歳になり奈良でアルバイト生活を送るアオの目の前で、激しい雨が降り、やがて若くして世を去った人々も空から逆さまに降ってくる。一見超現実的な描写からは、人と自然という垣根を超えた「生命の循環」の形がリアルに迫ってくる。

 「小さいころに見た、火葬場から上がる煙の記憶が今もある。思ったんですよね、あの煙は雲になり雨となって誰かの所へ降るんだなって…」。懐かしい記憶と、〈原子の総量は地球が誕生してから変わらない〉という、後に得た知識が自然と響きあった。

 「この自分の体も、原子にばらせば過去のいろんなものの名残でできている。そして命が絶えたら幾ばくかが何かに継承される、ということを繰り返して世界は続いていく。その地球の運動が面白いなと感じる」

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