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桑原あい 注目のジャズピアニストが手に入れた「自然体」で臨む新作

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桑原あい 注目のジャズピアニストが手に入れた「自然体」で臨む新作

注目のジャズピアニスト、桑原あい。「かわいいでしょ?」とお気に入りのアロハシャツはビンテージもの(石井健撮影) 注目のジャズピアニスト、桑原あい。「かわいいでしょ?」とお気に入りのアロハシャツはビンテージもの(石井健撮影)

 新作「To The End Of The World

(ユニバーサルミュージック)

 (1)Opening-1

 (2)MAMA

 (3)Mother Sea

 (4)The Error

 (5)When You Feel Sad

 (6)Improvisation XV -Hommage A Edith Piaf-

 (7)Maria

 (8)919

 (9)Love Me or Leave Me

 (10)To The End Of This World

 「音楽の思うにまかせて作った」と話すが、その音楽は自身の内側から生まれるものなのだから、結局のところ作品には意識下の自己像が投影されている。つまり、この作品の世界観は、いまのこのピアニストの性質そのものだ。その世界観をおおざっぱにいうなら「真剣で深刻」。それは、もしかしたら、現代を生きる20代の多くと共通する「気分」なのかもしれない。

 (1)は、曲名が先にあった。アルバムの冒頭に配置したから名づけたわけではない。独奏から始まり、やがてフルートを加えた四重奏団となって、音楽は飛翔する。(2)は、ピアノ三重奏団を従えたラップだ。サックスがオブリガートをつける。京都を拠点とするラッパー、Daichi Yamamotoが自身の経験をビートに乗せ語る。

 おそらくこの2曲の変化の幅だけでも、このピアニストの変幻自在さを知ることになるだろう。

 個人的な白眉は(6)だ。仏作曲家がシャンソン歌手のエディット・ピアフにささげた曲。7分に及ぼうとする演奏だが、ピアニストは終盤にほんのわずか加わるだけ。音楽のほとんどは弦楽団が奏でる。にもかかわらず、ピアニストの視線はずっと感じられる。前述したように、この作品全体にピアニストの自己像が投影されているからだ。中盤から執拗(しつよう)に繰り返されるリフ(短い旋律)が聴く者に抗しがたい高揚感をもたらす。

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