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【昭和天皇の87年】アジアを奮い立たせた勝利 「太陽の国が、明るい光を与えた」

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【昭和天皇の87年】
アジアを奮い立たせた勝利 「太陽の国が、明るい光を与えた」

画=井田智康 画=井田智康

(※1)ネボガトフは当初、降服を示すXGEの国際信号旗を掲げたが、連合艦隊の砲撃が止まなかったため、白色のテーブルクロスを掲揚した。一方、連合艦隊側ではXGE旗の意味が分からず、白旗掲揚をみてようやく降服の意図を悟った。だが、敵艦隊が陣形を崩さずに航走を続けているため、戦闘の意思ありとみて砲撃を止めなかった。このとき先任参謀の秋山真之が東郷に対し、「長官、武士の情けです」といって砲撃中止を進言したといわれる。しかし国際法に詳しい東郷は、敵艦隊の機関停止を確認してはじめて「撃ち方やめ」を命じた。

(※2)広瀬中佐とは、連合艦隊による旅順閉塞作戦(明治37年2~5月)で戦死した広瀬武夫。明治維新以降、初の「軍神」として神格化された。

(※3)日本の勝利をアジアの諸民族は歓迎したが、その後、日本が対外強硬路線に傾いたため、急速にアジアの支持を失うことになった。インドネシアの教科書にも「日本の支配地においては日本化が広く行われたが、これはアジアにおいて西洋帝国主義の地位に取って代わろうするためであった」などと、批判的に書かれている。インド初代首相のネルーは、日本の勝利にいかに勇気づけられたかを著書に記す一方、「(日露戦争の結果)少数の侵略的帝国主義諸国のグループに、もう一国をつけ加えたというにすぎなかった」と、日本への失望を痛烈に書き残している。

【参考・引用文献】

○軍令部編『明治三十七八年海戦史』

○同『極秘明治三十七八年海戦史』

○田中宏巳著『東郷平八郎』(筑摩書房)

○小笠原長生編著『聖将東郷全伝2巻』(国書刊行会)

○宮内庁編『昭和天皇実録』1巻

○大江志乃夫著『世界史としての日露戦争』(立風書房)

○石井和子監訳『世界の教科書シリーズ20 インドネシアの歴史-インドネシア高校歴史教科書』(明石書店)

○平間洋一編『日露戦争を世界はどう報じたか』(芙蓉書房)

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