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【昭和天皇の87年】世界が驚嘆した東郷ターン 「決戦は三十分で片が付いた」

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【昭和天皇の87年】
世界が驚嘆した東郷ターン 「決戦は三十分で片が付いた」

画=井田智康 画=井田智康

 日没後は連合艦隊の駆逐艦隊と水雷艇隊の出番だ。

 俊足の小型艦が敵の大型艦を追い回し、夜陰に乗じて肉薄する様子を、参戦した第41号水雷艇長の水野広徳が戦記文学の名著「此(この)一戦」に書く。

 「(味方の負傷者を)顧みる暇(いとま)も、助くる暇(ひま)もない。唯(ただ)驀進(ばくしん)! 唯猛進! やがて敵艦上に於ける喧噪叱咤を聞き得るに至れば、距離は已に二百米突(メートル)以内である。敵の艦腹を狙つて発射管の電鍵(でんやく)一(ひと)たび圧すれば、シューッ。一条の白線を海面に描きつヽ波を潜つて進み行く魚形水雷、一個! 二個!! 三個!!!」「幾(いくば)くもなく轟然海も覆(くつがえ)るばかりの爆音と共に、船体がピリヽと振動すれば、俄(にわか)に起る萬歳の声。命中ッ!」

 敵艦が狂乱して海面を猛射する中、駆逐艦隊と水雷艇隊の攻撃は、前方から後方から、一隊去ってはまた一隊と繰り返され、戦艦2隻、巡洋艦4隻を大破撃沈した。このうち戦艦を沈めた第4駆逐隊の司令は、のちの首相、鈴木貫太郎である。

 明けて28日、ウラジオストクに向けて遁走するバルチック艦隊は、戦艦2隻、装甲海防艦2隻、巡洋艦1隻に減っていた--。(社会部編集委員 川瀬弘至 毎週土曜、日曜掲載)

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