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【昭和天皇の87年】死闘!黄海海戦 運命の一弾が敵の司令長官を吹き飛ばした

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【昭和天皇の87年】
死闘!黄海海戦 運命の一弾が敵の司令長官を吹き飛ばした

画=井田智康 画=井田智康

 勅命とあれば出撃を拒む選択肢はない。しかもこの頃、陸上では乃木希典(まれすけ)の第3軍が旅順要塞に迫り、その砲弾がしばしば旅順港の艦船を損傷させていた。このままでは戦わずして被害が増えるばかりである。ヴィトゲフトは8月8日、各艦長らを召集して言った。

 「艦隊は10日午前6時の満潮時を期して出港する。必ずウラジオストクへ回航し、勅命を遂行すべし」

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 かくて錨を上げた旅順艦隊の決戦兵力は戦艦6隻、巡洋艦4隻、駆逐艦8隻。対する連合艦隊は戦艦4隻、巡洋艦14隻、駆逐艦18隻…。連合艦隊に分(ぶ)があるとはいえ、当時の海戦は主力艦の砲力がものをいう。真っ向勝負の砲戦となれば、連合艦隊が勝利するにしても深く傷つき、旅順艦隊の何隻かをウラジオストクへ取り逃がす恐れもあった。

 もしもそうなれば、日本の負けだ。近くロシアから回航されてくるバルチック艦隊に、太刀打ちできなくなるからである。

 だが、東郷には敵を撃滅する秘策があった。

 丁字戦法である。

 縦一列で航行する敵艦隊の前方を横切り、「丁」の字の形になって敵の先頭艦に集中砲火を浴びせるこの戦法は、開戦前から極秘に研究され、連合艦隊の戦策となっていた。そのための猛訓練も重ねており、丁字戦法が決まれば敵の先頭艦はたちまち火だるまとなろう。あとは後続艦を各個撃破すればいい…。

 このとき東郷は、丁字戦法が抱える重大な欠陥に気づいていなかった。

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