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【田村秀男のお金は知っている】「トランプ弾」が中国市場を直撃 世界を巻き込む「チャイナショック」にうろたえるな

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【田村秀男のお金は知っている】
「トランプ弾」が中国市場を直撃 世界を巻き込む「チャイナショック」にうろたえるな

中国、米国、日本の株価と人民元の対ドル相場(データ:CEIC) 中国、米国、日本の株価と人民元の対ドル相場(データ:CEIC)

 中国の金融は対米貿易黒字に支えられている。発券銀行である中国人民銀行は流入する外貨を原資にして人民元資金を発行し、国有商業銀行を通じて企業や不動産開発業者、地方政府、家計に貸し出す。この金融の量的拡大によって、08年9月のリーマン・ショックを乗り切り、高度成長を維持し、合わせて軍拡路線を推進してきた。

 外国との全ての商取引による外貨収支を示す経常収支黒字は昨年1650億ドルで、対米貿易黒字よりも2000億ドル以上少ない。トランプ政権はまさにその弱点を突く。貿易戦争に伴ってドルの流入が大きく減ると、人民元発行が制約を受け、金融を引き締めざるをえなくなる。すると需要が低迷し、企業収益も不動産相場も不振に陥り、借金を返せなくなる。

 窮余の一策は人民元の切り下げだ。米国による対中制裁関税の度合いに応じて、人民元を安く誘導し、輸出競争力の低下を防ぐ。人民元の対ドル相場は米中貿易交渉が決裂した5月以降、少しずつ下がり続けている(グラフ参照)。

 明白な人民元切り下げをすれば金融市場が大きく揺れ、巨額の資本逃避が起きかねないから、当局は忍び足だが、敏感な中国投資家は上海株を売り急ぐ。日本の市場もざわつくのだが、冷静に注視し、放っておけばよい。元凶は借金まみれの中国固有の脆(もろ)さにある。トランプ弾が来なくても遅かれ早かれ自壊は免れない。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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